有酸素運動は、唯一、脂肪を燃焼することのできる運動です。
大げさに感じられるかもしれませんが、どんなに運動強度の高いトレーニングをしていたとしても、有酸素運動なしで脂肪が燃焼されることはありません。
「有酸素運動をしなくても痩せられた」
・・・という経験をお持ちの方も少なくないはずです。
有酸素運動をしなくても痩せられたのは、日常生活が(低強度の)純粋な有酸素運動であるためです。有酸素運動では、最大酸素摂取量の50パーセント以下の運動強度で最も効率的に脂肪が燃焼されます。
知らず知らずのうちに有酸素運動をしていたということになります。
では、なぜ有酸素運動をしても痩せられないことがあるのか?
エネルギー収支
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どんなダイエット方法だとしても、痩せるのか? 太るのか? を決めるのはエネルギー収支です。エネルギー収支がマイナスであれば痩せますし、エネルギー収支がプラスであれば太ります。
この原理は不変です。
糖質制限ダイエットだから「摂取カロリーを気にせずにお腹いっぱい食べても痩せられる」と考えている人も少なくありませんが、糖質制限ダイエットであってもエネルギー収支がプラスになれば確実に太ります。
物理学の基本法則に「エネルギーは形を変えても消滅はしない」というものがありますが、これに則れば、体脂肪が貯まっていくのはあくまでもエネルギー摂取がエネルギー消費を上回っていることに原因があります。
引用元:石井直方[著]『太らない教室』P92より
頑張っているのに痩せられない場合、最初に疑うべきは「エネルギー収支(特に摂取エネルギー)」です。ダイエット時の摂取カロリーは、「目標体重kg×30kcal」ほどを目安にしてみる必要があります。
無酸素運動とのバランス
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有酸素運動”だけ”でのダイエットは、非効率です。
体脂肪を減らすためには、分解してから燃焼させる必要があります。
低~中強度の運動(有酸素運動)だけでは、血中アドレナリンや成長ホルモンなどに対する反応が鈍く、脂質代謝はなかなか活性化されません。
また、有酸素運動では筋量の維持(または増やすこと)が困難です。
ついつい「運動をしているのだから筋肉が増える」と錯覚してしまいがちですが、低~中強度の運動で筋肉が増えることはありません。(※倒れるくらいまで追い込めば筋肥大が起こりますが、現実的ではありません)
筋肉の減少は、代謝の低下に直結します。
知らず知らずにうちに「過剰な有酸素運動によって代謝を低下させている」こともなきにしもあらずだということです。
運動強度とダイエットペース
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有酸素運動は、軽い運動である必要があります。
運動強度が高くなるほどに「消費されるエネルギー比率が糖質にシフトしていく」という特徴があるためです。
純粋な有酸素運動とは、軽く汗ばむ程度の軽い運動です。
軽い運動ですので、当然、エネルギー消費は大きくありません。
ダイエットの基本原理は「エネルギー収支のマイナスを積み重ねていくこと」ですので、効果を実感できないくらいのペースで緩やかに痩せていくことになります。
「有酸素運動をしているのに痩せられない」と感じてしまうのも無理はありません。
まとめ
有酸素運動は、唯一、脂肪を燃焼することのできる運動です。
多くのフィットネスクラブや雑誌などで「ダイエットのための運動=有酸素運動」だと解釈されているのはこのためです。
しかし、有酸素運動だけでは非効率であることも事実です。
「有酸素運動では痩せない」というわけではありませんが、有酸素運動に過度な期待を持つことは確実に間違っています。
食事管理と運動(無酸素運動と有酸素運動)のバランスがとれていてこそ、無理なくスムーズなダイエットが可能になります。