BCAA(分岐鎖アミノ酸)は、筋トレダイエットにプラスに作用します。
これは、BCAAには「超回復の促進」「筋分解の抑制」「集中力の維持」という代表的な3つの効果があるためです。
- 超回復の促進:ロイシンが筋合成のスイッチを入れる
- 筋分解の抑制:BCAAがエネルギーとして使用される
- 集中力の維持:リラックス物質が増えないようにする
しかし、すべての人に実感できる効果があるわけではありません。
トレーニング前後の食事管理が上手くいっているのであれば不必要である可能性がありますし、筋グリコーゲンが枯渇しかけるほどのトレーニングをしないのであれば摂取するメリットは大きくありません。
筋合成の促進
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ロイシンには、「タンパク質合成のスイッチを入れる」という働きがあります。
「筋トレ後は30分以内にプロテインを飲みなさい」といわれているのは、BCAA(特にロイシン)の働きによってタンパク質合成のスイッチを入れるためです。勘違いしているか多も多いのですが、筋肉の材料のためではありません。
それは、ロイシンをはじめとする数種類のアミノ酸が、タンパク質の合成のスイッチをオンにする働きを持っているからです。トレーニングをするだけでもタンパク質の合成は上がりますが、ロイシンなどのアミノ酸を摂取すると、それがさらに上がるのです。
引用元:石井直方[著]『石井直方の新・筋肉まるわかり大事典』P58より
だったら「ロイシンだけを摂取すればいいのでは?」と考えるかもしれませんが、BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)は3種類のアミノ酸をまとめて摂取することに意味があります。
ロイシンだけを単体で摂取すると、活性酵素の影響でバリンとイソロイシンのみが分解されてしまい「体内のアミノ酸バランスが崩れてしまう」という特徴を持つためです。
筋分解の抑制
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BCAAには、筋分解を抑制する働きがあります。
筋トレダイエット中のトレーニングでは、筋肉のタンパク質を分解してエネルギーとして変換されてしまうリスクが高まります。これは、「グリコーゲンが枯渇しかける+脂肪のエネルギー変換が追いつかない」という状態にあるためです。
あらかじめBCAA(分岐鎖アミノ酸)を摂取しておくことで、筋分解の反応を遅延させることができます。
筋肉のタンパク質をつくるアミノ酸の中で一番多いBCAAをあらかじめ外から摂っておくと、タンパク質の分解反応そのものが遅くなります。
引用元:石井直方[著]『筋肉まるわかり大事典』P267より
ちなみに、BCAAの摂取による内蔵への負担を心配する必要はありません。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)には「肝臓を素通りして筋肉で代謝される」という特徴があるため、飲み過ぎによる内蔵への負担がないのです。
集中力の維持
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BCAAを摂取していると、集中力を維持しやすくなります。
集中力がとぎれるのは、リラックス物質が増えているサインです。
血液中のBCAA濃度が低くなると、相対的にトリプトファン(リラックス物質の材料となるアミノ酸)の比率が高くなりますので、結果としてリラックス物質が増えます。
それを防ぐためには、血液中のBCAA濃度を高めておく必要があります。
簡単に説明しますと、血液中のBCAAの濃度が下がってくると相対的にトリプトファンというアミノ酸が増えた形になり、それが脳内でメラトニン→セロトニンというようにリラックス物質へと変換されていくのです。
引用元:桑原弘樹[著]『サプリメントまるわかり大事典』P202より
集中力の維持は、トレーニングの質に直結してくる問題です。
集中力がそがれている状況下で闇雲にトレーニングボリュームを増やしたとしても、望んでいるようなトレーニング効果を得ることはできません。
単純に「トレーニング量<トレーニングの質」というわけではありませんが、トレーニング量とトレーニングの質は、どちらが欠けても最大限のトレーニング効果にはならないということです。
まとめ
しかし、必ずしも必要不可欠なサプリメントだということではありません。
優先順位を明確にしておくことがポイントです。
タンパク質が不十分なのであればプロテインを優先するべきですし、トレーニングの質を高めるだけなのであればプレワークアウトサプリ(NO系サプリ)の方が優れています。
目的や状況を正しく把握して、間違いのない選択を心がけてください。