筋トレのセット数は? 「8~12回3セット」がセオリーである理由。

筋肥大目的の筋トレには、3セット(以上)というセオリーがあります。
必ずしも「3セット以下では効果がない」というわけではありませんが、トレーニング効果を最大限に享受するためには、複数のセット数であることがポイントです。

セット数とトレーニング効果は、複数の要因によって左右されます。

  • トレーニング経験
  • トレーニング種目
  • トレーニング変数

「8~12回3セット」というのは、ひとつの目安にすぎません。
トレーニング経験が浅ければ2セットでも十分である可能性がありますし、トレーニング経験が豊富なのであれば3セットでも不十分な可能性もあります。

以下、筋トレ効果とセット数の関連性について説明していきます。

筋繊維に特徴

筋繊維を使い切るためには、3セットほどのボリュームが必要です。
最適な負荷でのトレーニングを限界回数まで実施したとしても、1~2セットと3セット以上の間には、大きな差が生じると考えられています。

これは、「1回のトレーニングですべての筋繊維が動員されることはない」という筋肉(筋繊維)の性質が深く関与しています。筋トレの効果を最大限にするためには、なるべくたくさんの筋繊維を「使い切る」ような工夫が必要となるのです。

しかし、やっかいなことに筋繊維は負荷をかけるたびに100%使われるわけではない。実は余力を残して次の運動に備えようとする筋繊維と、休ませる筋繊維を切り替えている。

引用元:『筋トレを科学する』P80より

オールアウトさせる(筋肉を疲労させてパフォーマンスを発揮できない状態にする)ためには、(大筋群の場合)最低でも3セット以上の運動ボリュームが必要であり、場合によってはディセンディングセットなどを取り入れる必要があります。

「肉体的オールアウトのためには、心理的オールアウトを繰り返さなければいけない」ようなイメージを持ってもらえれば分かりやすいかと思います。

オーバートレーニングのリスク

闇雲に「セット数を増やせばよい」ともいいきれません。

セット数を増やすことには、オーバートレーニングのリスクが伴います。
オーバートレーニングには「持久系」のものと「筋力系」のものがあり、(多くの場合)問題となるのは「持久系のオーバートレーニング」です。

  • 持久系:ストレスホルモンの増加
  • 筋力系:怪我のリスクの増大

超回復の概念から、筋力系のオーバートレーニングを心配する人が多いかもしれません。・・・しかし、実際には筋力系のオーバートレーニングはなかなか起こるものではありませんので、過度な心配は無用です。

持久系のオーバートレーニングの場合、ホルモン分泌に影響を与えます。
性ホルモンが減少して副腎皮質ホルモンが増加することで、「食欲の低下」や「やる気が起きない」などの症状が現れることがあります。

筋トレ初心者と経験者での差異

筋トレ初心者の場合、2セットほどでも効果的である可能性があります。

3セット以上が効果的なのは、トレーニング経験者の場合です。
トレーニング経験の浅い筋トレ初心者の場合、3セット以上のトレーニングボリュームには「大きなメリットはないのでは?」とも考えられています。

しかし、「kirieger 2010」のレビューによると、2~3セット行った場合と4~5セット行った場合では、筋肥大効果に大きな差はありません。

引用元:石井直方[監]荒川裕志[著]『効く筋トレ・効かない筋トレ』P25より

このことからも、筋トレ初心者にも関わらず「3セットでは追い込めない」と感じられているのであれば、問題となっているのは「セット数以外のトレーニング変数」である可能性があります。

もう一度、「強度、量、頻度」などのトレーニング変数を見直してみることをおすすめします。

ただし、上記はトレーニング初心者の場合の話です。
トレーニングに慣れてきている状況であれば「3セット未満では不十分」である可能性があり、やはり「3セット以上」というボリュームが必要となってきます。

まとめ

トレーニング種目による差はあるものの、「大筋群」「複合関節種目」という条件下における筋トレの最適なセット数は「トレーニング初心者で2~3セット」「トレーニング経験者で3~5セット」というのが目安となります。

もちろん、絶対的な正解ではありません。

挙上スタイルなどによっても変化する問題ではありますが、ひとつの指標として「トレーニング初心者で2~3セット」「トレーニング経験者で3~5セット」というトレーニング変数を考慮してみてください。

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