懸垂のやり方(フォーム)とコツ。主動筋である広背筋への意識。

懸垂(チンニング)のやり方を説明します。

懸垂は、運動強度の高いトレーニング種目です。
強度が高いが故、「狙った部位(広背筋)に効きにくい」「関節を痛めてしまう」などのリスクを伴いやすい種目でもあります。

特に過体重である場合、無理をしないことをおすすめします。

また、持ち手が「順手(オーバーグリップ)なのか?」「逆手(アンダーグリップ)なのか?」によって、筋肉の動員比率が大きく変化します。「なにを目的に懸垂をするのか?」を明確にしておくことがポイントです。

以下、基本的なやり方を説明していきます。

順手での懸垂のやり方

基本的な懸垂は、順手で行います。

順手と逆手の違いは、筋動員比率の違いです。
順手では広背筋が強く刺激され、逆手では(肘屈曲筋へ負荷が分散されるため)上腕二頭筋の関与が大きくなります。

  • 肩幅よりも広めにバーを握る
  • 胸を張って背中を反らしながらバーに胸を近づける
  • 広背筋でブレーキをかけながらゆっくりと下ろしていく

懸垂のポイントは、「胸を近づける意識」です。
背中を丸めるようなフォームになると広背筋から負荷が逃げてしまいますので、チーティングフォームになってしまします。

また、強く握りすぎても負荷が逃げやすくなりますので、可能であれば「リストストラップなどを用いて把持力を補助しておく」ことをおすすめします。

STEP1
スタートポジション

手幅は、肩幅よりも広めにとります。
極端なワイドグリップである必要はありません。

膝を曲げて足を組んでください。
「必ず足を組まなければならない」というわけではありませんが、足を組むことで体が安定しやすく(ブレなく)なります。

また、足を組んでいれば「胸を張って背中を反らせることを意識しやすい」というメリットもありますので、特別な理由がなければ「膝を曲げて足を組んでおく」ことをおすすめします。

STEP2
コンセントリック局面

ぶら下がった状態から、体を引き上げます。

「肩を下げる」「肩甲骨を開かない」ことがポイントです。
肩が上がって肩甲骨が開いたフォームだと、腕や僧帽筋へ負荷が逃げやすくなってしまいますので広背筋へは効きにくくなります。

  • 肩を下げる
  • 肩甲骨を開かない
  • 胸を張って背中を反らす

バーに胸を近づけるような意識を持つことがポイントです。
これによって、「広背筋への負荷が逃げにくくなる」「肘が体の後ろ側にくるまで収縮させることができる」などのメリットを得られます。

STEP3
エキセントリック局面

引き上げた体を下ろしていきます。
コンセントリック局面でのフォームを維持することがポイントであり、広背筋でブレーキをかけながらゆっくりと下ろしていきます。

エキセントリック局面は、丁寧に行わなければいけません。

具体的には、1秒で上げて2秒で下げるようなイメージとなります。
エキセントリック局面(ネガティブレップ)を丁寧に行うことにより、「筋繊維がダメージを受けやすくなる」「速筋繊維の動員比率が高まる」などの効果があります。

逆手での懸垂のやり方

上腕二頭筋を重視する場合は、逆手で行います。
基本的なチェックポイントは、オーバーグリップでの懸垂(チンニング)と同じですので難しく考える必要はありません。

  • 肩幅程度で(逆手で)バーを握る
  • 胸を張って背中を反らしながらバーに胸を近づける
  • 広背筋でブレーキをかけながらゆっくりと下ろしていく

オーバーグリップよりも難易度は下がります。
広背筋、大円筋、僧帽筋(下部)に集中していた負荷が、肘屈曲筋群や三角筋(後部)の関与が増えることで分散されるためです。

STEP1
スタートポジション

肩幅程度にバーを握ります。
腕が完全にストレッチされたポジションがスタート位置となりますが、過体重である場合には関節の怪我に注意する必要があります。

膝を曲げて足を組んでください。

体幹を固定することもポイントになります。
体幹(コア)や殿筋を強く収縮させておくことで、体幹のブレが少なくなりフォームが安定しやすくなります。

STEP2
コンセントリック局面

スタートポジションから、体を引き上げていきます。

バーに上胸部を近づけるようなイメージです。
「肩を下げて肩甲骨を寄せる」「胸を張って背中を反らす」ことがポイントであり、それができていないと負荷が腕や僧帽筋に逃げてしまいます。

基本的なポイントは、オーバーグリップチンニングと同じです。

STEP3
エキセントリック局面

トップポジションから、体を下ろしていきます。
フォームを維持しながら下ろしていくことがポイントであり、関与している筋肉をブレーキのように使っていることを意識します。

懸垂は、エキセントリック局面を重視してください。
自重トレーニングの中では(比較的)負荷の大きなトレーニング種目となりますので、エキセントリック局面を重視することで大きな効果を得ることができます。

できない場合の練習方法

できない場合の練習方法には、いくつかの方法があります。

  • ネガティブチンニング
  • 補助チューブ
  • 斜め懸垂

おすすめは、ネガティブチンニングです。
ネガティブチンニングとは「エキセントリック局面のみを繰り返すチンニング」のことであり、下ろす動作のみを繰り返すことになります。

しかし、ネガティブチンニングすら難しい場合には、「補助チューブを利用するチンニング」や「斜め懸垂(インバーテッドロウ)」などに取り組むことで基礎体力を付けていく必要があります。

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まとめ

懸垂のやり方(フォーム)は、複雑です。
上記で説明した「肩を下げる」「肩甲骨を開かない」「胸を張って背中を反らす」というのは、最低限、押さえておくべきポイントでしかありません。

はじめは、「背中に刺激が入らない」ということもあるかと思います。

まずは、フォームを固めることを優先してください。
フォームを崩して(チーティングフォームで)反復回数を重ねても意味がありませんし、悪いフォームが癖になってしまう可能性すらあります。

地道な練習を重ねていくことをおすすめします。

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