筋肉のつきやすい体質とつきにくい体質の違い。遺伝的要因とは?

筋肉のつきやすさは、遺伝的要因に左右されます。
もちろん「素質がなければ筋肉はつかない」というわけではありませんが、「素質のある人と比べて時間がかかる」「限界値が低い」などの違いがあることは確実です。

これは、筋肉が遺伝的要因に影響を受けているためです。
主な違いには、「遅筋繊維と速筋繊維の割合」「筋繊維の数」「成長因子の分泌量(割合)」「遺伝子の違い」などがあります。

残念ながら、遺伝的要因を変えることはできません。
自分の持つ遺伝的特徴を正しく把握することがポイントであり、その特徴に合わせたトレーニングスケジュールによってトレーニング効果(関連記事:筋トレダイエットの期間)も変わってきます。

以下、その詳細について解説していきます。

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遺伝による遅筋繊維と速筋繊維の割合

遅筋繊維や速筋繊維の割合には、個人差があります。

筋繊維は、大きく遅筋繊維と速筋繊維に分類されます。
遅筋繊維(ST:タイプⅠ)とは持久力に優れている筋繊維であり、速筋繊維(FT:タイプⅡ)とは瞬発力に優れている筋繊維です。

さらに、速筋繊維には遅筋繊維の特徴を併せ持つタイプⅡaとタイプⅡxがあります。

  • 遅筋繊維(ST:タイプⅠ)(赤筋)
  • 速筋繊維(FT:タイプⅡ)
    • タイプⅡa(ピンク筋)
    • タイプⅡx(ピンク筋)
    • タイプⅡb(白筋)

筋肥大するのは、速筋繊維です。
遅筋繊維と速筋繊維の変換は起こらないと考えられていますので、遺伝的に速筋繊維の割合の多い体質の人は「筋肉のつきやすい体質」ということができます。

遅筋繊維と速筋繊維の比率は、一卵性双生児ではまったく同じなのに対して、二卵生双生児では違う結果になることが確認されています。

筋の中に含まれる遅筋繊維と速筋繊維の数の比が、まず遺伝によって決まることは間違いありません。komiら(1976)の研究によって、一卵性双生児(すなわち遺伝子が同じ)では、それぞれの子の筋に含まれる遅筋繊維の割合がまったく同じなのに、二卵生双生児ではそうならないことが示されているからです。

筋繊維の割合は、遺伝によって決まるということです。
このことからも、遅筋繊維の割合が大きければ筋肉が大きくなりにくく、速筋繊維の割合が大きければ筋肉が大きくなりやすいということになります。

筋繊維の数の違い

筋繊維の数が違うことも、「筋肉のつきやすさ」に深く関与しています。

筋肥大は、筋繊維が太くなることで起こります。
当然、あらかじめ筋繊維の数の多いタイプの人は「同じトレーニングをしても大きくなりやすい(筋肥大しやすい)」ということになります。

筋繊維の数は、遺伝的要因に左右されます。
「筋繊維を増やせるのか?」に関しては明確な答えは出ていませんが、「増やせるのは2次成長まで」だというのが一般的な認識になっています。

基本的に、大人になってからでは変えようがないということです。

成長因子の作用

筋肉の成長には、成長因子が関与しています。
筋肥大に直接的な影響力を持つものとしては、「ミオスタチン(筋肉の成長を抑制する因子)」や「IGF-1(タンパク質合成を促す因子)」などがあります。

  • ミオスタチン:タンパク質合成の抑制
  • IGF-1:タンパク質合成の促進

ミオスタチンとIGF-1のバランスが、筋肉量に影響するということです。

成長因子のバランスは、遺伝的要因に左右されます。
ミオスタチンの分泌が弱くIGF-1の分泌が活発であれば筋肉がつきやすく、逆であれば筋肉がつきにくいという特徴を持ちます。

その遺伝子に変異が起こり、正常なミオスタチンがつくられなくなると、筋量がウシでは約30%増しに、マウスでは2~3倍になることがわかっています。

テレビなどでは「ムキムキの子供」が紹介されていることがあります。
これは、ミオスタチン(筋肉の成長を抑制する成長因子)の遺伝子に変異があるためであり、ある意味「遺伝子操作されている」ような状態にあるためです。

スポーツ遺伝子による違い

持っている遺伝子によって、適切なトレーニング強度や頻度は変化します。

例えば、ACTN3という遺伝子。
ACTN3には正常な遺伝子であるRR型と変異した遺伝子であるXX型があり、筋肉の損傷や回復力に大きな影響力を持っています。

※ACTN3:αアクチニン3というタンパク質をつくり出す遺伝子

  • RR型:筋肉が壊れにくく回復しやすい
  • XX型:筋肉が壊れやすく回復しにくい

日本人の約30%は、XX型の遺伝子を持っています。
つまり、日本人の約3割は「頻度を落としてでも十分な回復期間を要した方が効率的に筋肉をつけられる(関連記事:筋トレの頻度は週2回)」ということになります。

XX型の遺伝子は「トレーニングに対する感受性の高い遺伝子」とも言い換えることができますので、一定レベルまでであればRR型遺伝子を持っている人よりも成長が早い可能性があることも示唆されています。

体質に合わせた、適切なトレーニング変数であることがポイントになります。

まとめ

筋肉がつきにくい体質というのは、確実に存在します。
これは、「遅筋繊維と速筋繊維の割合」「筋繊維の数」「成長因子の分泌」などの多くは遺伝によって左右される問題であるためです。

もちろん、あきらめる必要はありません。

遺伝的な要因が大きくなるのは、トップレベルでの話です。
多くの人が望んでいるであろう「程良く筋肉質で好感度の高い見た目」であれば、遺伝的要因に恵まれていなくても十分に到達可能なレベルとなります。