筋肉のつきやすさは、遺伝によって左右されます。
もちろん、「素質がなければ筋肉をつけられない」というわけではありませんが、「素質がある人に比べて時間がかかる」というのは事実です。

これは、筋肉のつきやすさに関連する条件の多くが遺伝によって左右される問題であるためであり、その条件には「筋繊維の特徴」「筋繊維の数」「成長因子の分泌量(割合)」「遺伝子の違い」などがあります。

以下、その詳細について解説していきます。

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遅筋繊維と速筋繊維の割合

遅筋繊維と速筋繊維の割合には個人差があります。

筋肉(筋繊維)を大きく分類すると、持久力に優れている遅筋繊維の多いタイプ、瞬発力に優れている速筋繊維の多いタイプ、そして中間的なオールラウンド的なタイプが存在します。

  • 遅筋繊維の優位なタイプ
  • 速筋繊維の優位なタイプ
  • 中間的なタイプ

筋肉が肥大する(大きくなる)のは速筋繊維です。
遅筋繊維の多いタイプと速筋繊維の多いタイプとでは「筋肉のつきやすさに差異がある」というのは当然の結果なのです。

遅筋繊維と速筋繊維の比率は、一卵性双生児ではまったく同じなのに対して、二卵生双生児では違う結果になることが確認されています。

筋の中に含まれる遅筋繊維と速筋繊維の数の比が、まず遺伝によって決まることは間違いありません。komiら(1976)の研究によって、一卵性双生児(すなわち遺伝子が同じ)では、それぞれの子の筋に含まれる遅筋繊維の割合がまったく同じなのに、二卵生双生児ではそうならないことが示されているからです。

引用元:石井直方[著]『究極のトレーニング』P256より

このことからも、筋繊維の割合が違えば同じトレーニングをしていても筋肉がつきやすい(筋肥大しやすい)と実感できる人もいれば、なかなか筋肉がつかない(筋肥大しにくい)と感じる人もいることになります。

筋繊維数の違い

筋繊維の数が違うことも、「筋肉のつきやすさ」に深く関与しています。

筋肉が大きく成長する(筋肥大する)ということは、筋繊維が大きくなっているか筋繊維が増えていることによって起こります。当然、筋繊維の太さが同じであっても、数が多ければそれだけ筋肉は大きくなることになります。

一般的に筋繊維の数は遺伝によるところが大きく、数を増やせるのは2次成長までだといわれています。(※筋繊維の数を増やせるのか? ・・・に関しては多くの相反する意見がありますので確実とはいえません)

成長因子の作用

成長因子の関与も見逃すことはできません。

筋肉に直接的に影響を与える成長因子として、「ミオスタチン」と「IGF-1」というものがあります。前者は筋肉の発達を抑制する因子であり、後者はタンパク質の合成を促す因子となります。

  • ミオスタチン:タンパク質合成の抑制
  • IGF-1:タンパク質合成の促進

ミオスタチンとIGF-1のバランスが、筋肉量に大きな影響を与えます。

これらの成長因子はどちらも遺伝によるところが大きく、ミオスタチンの分泌が弱くIGF-1の分泌が活発であれば筋肉がつきやすく、逆であれば筋肉がつきにくいという特徴を持つことになります。

スポーツ遺伝子による違い

持っている遺伝子によって、適切なトレーニング強度や頻度は変化します。

例えば、αアクチニン3というタンパク質をつくり出す遺伝子に、ACTN3があります。ACTN3には正常な遺伝子であるRR型と変異した遺伝子であるXX型があり、筋肉の損傷や回復力に大きな影響力を持っています。

  • RR型:筋肉が壊れにくく回復しやすい
  • XX型:筋肉が壊れやすく回復しにくい

日本人の約30パーセントはXX型の遺伝子を持っているとされています。

つまり、日本人の約3割は「トレーニング頻度を落としてでも十分な回復期間を要した方が効率的に筋肉をつけられる」ということになります。・・・残念ながら、XX型の遺伝子を持っている人はスプリント系やパワー系種目では大成できません。

しかし、大成できないというのはトップレベルでの話です。

XX型の遺伝子は「トレーニングに対する感受性の高い遺伝子」とも言い換えることができますので、一定レベルまでであればRR型遺伝子を持っている人よりも成長が早い可能性があることも示唆されています。

個々の体質に合わせた、適切なトレーニング変数であることがポイントになります。

もっとも効率的な筋トレ頻度は、1部位につき週2~3回です。 これは、筋肉を成長させるためには(筋肥大させるためには)休養が必要であり、筋トレ後のタンパク質合成は48~72時間ほど

まとめ

筋肉がつきにくい体質というのは、確実に存在します。
これは、「遅筋繊維と速筋繊維の割合」「筋繊維の数」「成長因子の分泌」などの多くは遺伝によって左右される問題であるためです。

もちろん、あきらめる必要はありません。

遺伝的な要因が大きくなるのは、トップレベルでの話です。
多くの人が望んでいるであろう「程良く筋肉質で好感度の高い見た目」であれば、遺伝的要因に恵まれていなくても十分に到達可能なレベルとなります。

ヒトの体質には、生まれ持った個性(特徴)があります。 生命が誕生する元となる”胚”は、受精後2~3週間目には「外胚葉・中胚葉・内胚葉」という三つの層が確認できるようになります