食欲の大部分は、血糖値によってコントロールされています。
「痩せたいのに食べたい」・・・という思いは、ダイエットを経験したことのある方であれば誰もが経験しているはずです。
ダイエットには「エネルギー収支のマイナスによって体脂肪が落ちていく」という大原則がありますので、食欲をコントロールすることができなければダイエットは難しいものになっていきます。
以下、食欲をコントロールするために血糖値のコントロールが必要である理由を説明していきます。
空腹感と血糖値
◇
空腹感は、血糖値によってコントロールされています。
多少乱暴な主張になってしまうのですが、空腹感は「胃が空っぽになったからではなく、血糖値が下がることによって起こる」のです・・・。
事実、(入院などによって)点滴によって直接的に糖質を補給し続けていると空腹感は起こりにくくなります。
このことからも、「痩せたいのに、ついつい食べてしまう」のであれば、血糖値をコントロールするような食事管理をしていくことがポイントとなります。・・・具体的には、GI値の低い主食や、こまめな間食などが有効です。
摂取エネルギーと空腹感
◇
摂取エネルギーと空腹感は比例しません。
血糖値が乱高下するような食事であれば強い空腹感が起こりやすくなりますし、血糖値が安定するような食事であれば強い空腹感は起こりにくくなります。
ダイエット中の食事で「食物繊維を積極的に摂取しなさい」「野菜から食べはじめて主食(炭水化物)は最後に食べなさい」と言われることが多いのは、血糖値の乱高下を防ぐためなのです。
当然、精製された穀物よりも、未精製で食物繊維や各種微量栄養素が豊富に含まれている穀物の方が(血糖値のコントロールという点では)ダイエットに向いています。
食事間隔の問題
◇
長すぎる食事間隔は、強い空腹感を生みます。
たとえば、1日の設定カロリーを2食に分けて摂取するよりも、3食に分けて摂取した方が空腹感は起こりにくくなります。
これは「空腹の状態(血糖値が下がった状態)で食事を摂ると、血糖値が上がりやすくなる」ことが関係しており、食べたい欲求を抑えるためにも「強い空腹感が起こらないような食事管理」がポイントになるのです。
大げさに言えば、食事回数は多ければ多いほど良いということです。
注意点としては、間食に単糖類を摂取しないことです。
単糖類は筋トレ後(もしくは起床直後)に限って言えば積極的に摂取するべき糖質なのですが、間食としては良くありません。
甘いおやつは急激に血糖値を上昇させますので注意が必要です。
精神的ストレスと空腹感
◇
精神的ストレスは、食欲のコントロールを難しくさせます。
原因は様々ですが、特に注目して欲しいのが「腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れ」です。心と腸には密接な相関関係があり、精神的ストレスは腸内細菌叢を乱しますし、腸内細菌叢の乱れはストレスに弱い状態をつくり出します。
腸内細菌叢が乱れると「ストレスに弱くなる」ということです。
また、腸内細菌叢の乱れは痩せにくい体質の原因にもなります。
腸内細菌はエネルギー代謝に少なからず影響を与えており、痩せやすい人の腸内細菌叢と太りやすい人の腸内細菌叢には明確な違いがあることが確認されています。
活動量と精神的ストレス
◇
少なすぎる活動量は、食欲のコントロールを難しくさせます。
日常生活は低強度の有酸素運動です。
立ち仕事の人とデスクワークの人の活動量には大きな違いがあり、立ち仕事の人は日常的に低強度の有酸素運動を行っている状況と言い換えることができます。
そして、有酸素運動と精神的ストレスには大きな関連性があります。
[略] 体重とストレスが減り、鬱の発生率が低下し、認知機能が改善するといったメリットです。注意すべきなのは、これらの効果は筋力トレーニングではなく、有酸素運動と密接に関連しているという点です。
引用元:アレックス・ハッチンソン[著]『良いトレーニング、無駄なトレーニング』P121より
もし、「痩せたいのに食べたい」という思いが強く、日常の活動量が不足していることを自覚しているのであれば、適度な運動によって食欲のコントロールが容易にできるようになる可能性があります。
まとめ
間違っても「痩せたいのに食べてしまうのは意志が弱いからだ」とは考えないでください。・・・不要なストレスは、ダイエットを難しいものにしてしまうだけです。
ポイントは、精製された糖質を避けること。
たったこれだけのことでも強い食欲に悩まされる頻度は少なくなるはずです。
また、同時進行で腸内細菌叢の改善にも着手するべきです。
「毎日、味噌汁を飲む」ことだけでもかまいません。
腸内細菌叢を整えることで、「精神的ストレスに強くなる」「脂肪合成が小さくなり、エネルギー代謝が大きくなる」などのメリットが得られるようになります。