「筋トレダイエットの食事=鶏胸肉」ではありません。
もちろん約50円/100gで購入することのできる鶏胸肉は「究極の高タンパク質低カロリー食材」ではあるのですが、多少の脂質を許容できるのであれば選択肢は大幅に広がります。
鶏胸肉を食べなくても筋トレダイエットは可能だということです。
タンパク質には動物性タンパク質と植物性タンパク質があります。
どちらが優れているという単純な問題ではなく、どちらのタンパク質にもメリットとデメリットの両面が存在します。
- 動物性タンパク質
- 植物性タンパク質
筋肉の材料として摂取するのであれば「動物性タンパク質の方が優れている」のは確かなことです。アミノ酸バランスや吸収速度の違いが筋肉の成長に影響を与えている可能性が高いと考えられています。
肉類の低カロリー高タンパク食材
タンパク質というキーワードで最初に連想するのは「肉」であるはずです。
牛肉、豚肉、鶏肉など、様々な種類の肉がありますが、高タンパク低カロリーな肉の条件は「低脂肪(脂質の少ない)肉」であることです。肉類には糖質が含まれませんので、「低脂肪=高タンパク質」ということになります。
- 鶏むね肉(皮つき):191kcal P19.5g
- 鶏むね肉(皮なし):108kcal P22.3g
- 鶏もも肉(皮つき):200kcal P16.2g
- 鶏もも肉(皮なし):116kcal P18.8g
※100gあたり
鶏むね肉ともも肉の比較を見てもらえれば分かりやすいかと思います。
鶏むね肉の方が高タンパク低カロリーではありますが、(ダイエット終盤を除けば)鶏もも肉であっても問題ないと思いませんか?
精神的なストレスには「筋肉を分解して体脂肪の合成を促す働き」があります。
鶏むね肉を食べることにストレスを感じているのであれば、多少脂質の多いもも肉に切り替えることも選択肢のひとつとなります。
また、牛肉や豚肉であっても同様のことが言えます。
たとえば、豚肉。
- 豚もも(脂身つき):183kcal P20.5g
- 豚もも(皮下脂肪なし):148kcal P21.5g
- 豚もも(赤肉):128kcal P22.1g
※100gあたり
同じ部位の肉であっても、脂質の有無によって大きな違いがあります。
とにかく「脂身の少ないモノを選ぶ」ことがポイントです。部位にこだわるよりも目視にて確認する方が確実な場合もあります。
その他、卵(鶏卵)も見逃すことのできないタンパク質食材です。
全卵だと高タンパク低カロリーとは言えないのですが、コストパフォーマンスの点を考慮すると欠かすことはできません。
- 全卵:151kcal P12.3g
- 卵黄:387kcal P16.5g
- 卵白:47kcal P10.5g
※100gあたり
卵黄には脂質が豊富ですので、主要なタンパク源とするには無理があります。しかし、タンパク質食材のひとつだと考えるのであれば積極的に食べるべきです。
僕は食材を捨てることに躊躇してしまうタイプですので、全卵で食べています。
ボディメイクへの思いよりも「もったいない」という感情が勝ってしまうのです・・・。本気で取り組んでいるヒトの中には卵白のみを食べている場合も少なくありません。
ちなみに卵は「加熱すること」がポイントです。生のままだとタンパク質の吸収率が著しく低下してしまいますので注意してください。
魚介類の低カロリー高タンパク食材
魚介類のアミノ酸組成は、同じ動物性タンパク質であっても肉類のモノとは違いがあります。筋肉の材料として優れているのは、「肉類>魚介類>植物性」という順番です。
しかし、魚介類には魚介類にしか含まれていない栄養素がありますし、タンパク質と脂質の割合から比較しても、決して肉類に劣っているというわけではありません。
- 白鮭:133kcal P22.3g
- 銀鮭:204kcal P19.6
- キハダマグロ:106kcal P24.3g
- メバチマグロ:108kcal P22.8g
- サバ缶(水煮):190kcal P20.9g
※100gあたり
上記は一般的に馴染み深いであろう魚のカロリーとタンパク質含有量ですが、かなりの高タンパク低カロリー食材であることが分かりますよね? もちろん、部位や魚種による違いはあるのですが、魚も悪くないと思うはずです。
また、魚介類にはフィッシュオイルやアルギニンなどの成分が豊富に含まれているというメリットがあります。
フィッシュオイルは「推奨していない専門家はいない」とまで言われている脂質ですし、アルギニンは一酸化窒素(NO)の材料となる栄養素です。どちらも筋肉の成長に対してプラスに作用します。
- フィッシュオイル:青魚全般
- アルギニン:貝類、イカやタコ
魚介類に含まれているタンパク質は、肉類と比べると筋肉の材料になりにくいという特徴があります。しかし、健康効果や栄養の多様性を考えると、積極的に摂取しておきたいタンパク質でもあります。
植物性の低カロリー高タンパク食材
植物性タンパク質に対し、「動物性タンパク質よりも健康的」だとイメージするヒトは少なくありません。
これは、植物性タンパク質の代表格とも言える「大豆タンパク質」には、コレステロールの低下作用があり、更年期障害の緩和や骨粗鬆症の予防にもなるなど様々な健康効果があるためです。
しかし、単純に「タンパク質含有量の多い食材」として考えるのであれば、必ずしも植物性タンパク質が優れているというワケではありません。
- きなこ(脱皮大豆):434kcal P36.8g
- 木綿豆腐:72kcal P6.6g
- 糸引き納豆:200kcal P16.5g
※100gあたり
植物性タンパク質を豊富に含む食材には、脂質と糖質も豊富に含まれている傾向にあります。もちろん、それらの栄養素は健康維持には必要なのですが、主なタンパク源として選択するのであればカロリーオーバーのリスクが伴います。
これらのことからも、植物性タンパク質は高タンパク低カロリー食材にはなりにくく、肉類や魚介類を軸として「補助的に植物性タンパク質を摂取する」というのが現実的な選択になるかと思われます。
植物性タンパク質を重視するのであれば、ソイプロテイン(大豆プロテイン)などを活用することも考えるべきです。
プロテインの有効利用
番外編にはなりますが、プロテインも選択肢に入れておくべきです。
プロテインは、タンパク質のサプリメントです。
日本の法律では、ヒトが口から摂取できるものには「医薬品」「医薬部外品」「食品」の3種類しかありませんので、プロテイン(プロテインパウダー)は食品として扱われます。
「体に悪いのでは?」・・・と、心配される方も少なくありませんが、サプリメント(栄養補助食品)としてのプロテインは、あくまで「粉状に加工したタンパク質」ですので、過剰摂取にさえ気を付けていれば問題はありません。
どんな食品であっても、食べ過ぎれば体に悪いですよね?
また、「プロテインは高いから・・・」と仰られる方もおられます。
しかし、タンパク質量当たりの価格で比較してみると、多くのプロテインは安価な肉類(100円以下/100g)と同等かそれ以下です。
鶏胸肉よりも安いプロテインも珍しくはありません。
ある意味、究極の高タンパク質低カロリー(低脂質&低糖質)食品であるといえます。
まとめ
毎日、皮を取り除いた鶏胸肉ばかりを食べていたのでは、食事に対して苦痛(嫌悪感)を感じてしまいます・・・。
極端な高脂質でなければ食べても大丈夫です。
肉類、魚介類、大豆類などのタンパク質食材を意識しながらも、多くのバリエーションの中から「その時々に食べたいもの」を選ぶようにしてください。
筋トレダイエットは長期戦になります。
食事が過度なストレスになるようでは続きませんし、「美味しいものを食べる」という人生における楽しみのひとつを放棄してしまうことにもなりかねません。