筋肥大の仕組み。あまり意味はないが知って損のないメカニズム。

筋肥大は、筋繊維が太くなることによって起こります。

身体(骨格)を動かしているのは、筋肉です。
筋力には「筋肉(骨格筋)の断面積に比例する」という性質があり、筋力を向上させるためには筋肥大させるしかありません。

ここで疑問に思うであろう、「筋肥大の仕組みは?」……という問題。

正直、知る必要はありません。
知る必要はないのですが、「どんな仕組みで筋肥大が起こっているのか?」という雑学は、筋トレのモチベーションにつながる可能性があります。

そこで今回は、筋肥大の仕組みを説明していきます。

筋肉が太くなる仕組み

骨格筋の肥大は、筋繊維の肥大によって起こります。

筋肥大には、3通りの仕組みが考えられます。
ひとつめが「個々の筋繊維が太くなる」、ふたつめが「筋繊維の数が増える」、みっつめが「筋繊維が太くなり、数も増える」の3通りです。

  • 筋繊維が太くなる
  • 筋繊維の数が増える
  • 両方が組み合わさっている

残念ながら、絶対的な正解は解明されていません。

しかし、筋繊維の細胞(筋細胞)の性質を考慮すると、(基本的には)「1本1本の筋繊維が肥大することによって筋肥大が起こっている」と考えるのが自然だと考えられています。

筋繊維が増える可能性もあるのですが、ここでの説明は割愛します。

筋繊維が太くなる仕組み

筋繊維は、核が増えることで肥大します。

筋細胞は、複数の核を持つ多核細胞です。
このような多核の細胞には「細胞分裂をしない」という特徴がありますので、(核支配領域の関係上)外部からの補充がなければ太くなることができません。

そこで活躍するのが、サテライト細胞です。

サテライト細胞は、筋細胞に対して核の供給をします。
筋繊維の周囲に存在しているサテライト細胞が分裂、増殖することによって、筋繊維に張り付くように融合していくのです。

【補足1】筋繊維に核を供給することのできる細胞には、骨髄由来の肝細胞などもあります。
【補足2】核の増えた筋繊維は、トレーニングの中断によって萎縮したとしても「(ほとんど)減少しない」ことが確認されています。この仕組みが、マッスルメモリー(筋の記憶)の根拠にもなっています。

マッスルメモリーの仕組み。過去の筋トレ経験は無駄にはならない。

筋肥大と年齢(加齢)

年齢を重ねても、筋肥大は可能です。
しかし、加齢が筋肥大のペースを落とすことは確実であり、これには「筋サテライト細胞の増加機能の低下」が関係していると考えられます。

年齢を重ねるごとに、筋繊維の核を増やしにくくなっていくのです。

多核細胞である筋繊維は、核の供給なしには肥大できません。
核支配領域には多少の余裕がありますので、核の供給能力が落ちていても「多少の筋肥大」は可能なのですが、若い人のようにはいかなくなります。

「若いうちに鍛えておいた方がよい」と言われることが多いのは、こんな仕組みが関係しています。

まとめ

筋肥大は、(基本的に)筋繊維が太くなることで起こります。
そして、多核細胞である筋繊維が太くなるためには「外部からの核の供給」がなくてはなりません。

その供給をおこなっているのが、サテライト細胞です。
分裂、増殖したサテライト細胞は、筋繊維に融合して「核の供給と再生」を行っています。

また、加齢はトレーニング効果を低下させます。
これはサテライト細胞の増殖機能が減弱するためであり、「核が増えにくく、再生も遅くなる」ことによるものです。

老後のためにも、(サテライト細胞の増殖機能が減弱する前に)「ある程度は鍛えておくこと」が必要となるわけです。

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