アルコールは、筋肉に悪い影響を与えます。
酒を飲み過ぎると筋肉痛が起こります。
アルコールは純粋な毒物であるため、適量を超えると筋繊維を破壊して「ズキズキと痛む」筋肉痛のような症状を引き起こすのです。
この筋肉痛は、運動による筋肉痛とは別物です。
トレーニングによる筋肉痛はタンパク質合成を促しますが、アルコールによる筋肉痛はタンパク質合成を促すばかりか阻害してしまいます。
待ち受けているのは筋委縮です。
以下、詳細を説明していきます。
アルコールによる筋肉痛の仕組み
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酒を飲み過ぎると筋肉痛になることがあります。
過度な飲酒によって血中アルコール濃度の高い状態が続きますと「筋繊維の部分壊死」が起こってしまうためです。
アルコールは純粋な毒物です。
アルコールには殺菌作用がありますので、実験などでは微生物を固定する(殺して動かなくする)などにも用いられるほどです。
過剰なアルコールは、筋肉の細胞をも殺してしまうのです。
この場合、筋力低下とともに、筋痛、血中へのミオグロビンの溶出、筋繊維(特に速筋繊維)の部分壊死などが起こると報告されています(Langら、2001)。
引用元:石井直方[著]『究極のトレーニング』P246より
アルコールの影響を受けるのは、速筋繊維です。
速筋繊維はトレーニングによって肥大(筋肥大)する筋繊維ですので、酒におぼれた生活を続けていると「メリハリのないスタイル」になってしまいます。
アルコール依存症の方に「細身の人が多い」のも頷けます。
タンパク質合成を阻害する理由
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高濃度のアルコールは、筋を破壊します。
また、軽い晩酌程度のアルコールでは(問題になるほどの)筋分解は起こりませんが、徐々に筋合成の能力が衰えていくことが確認されています。
アルコールによる害は、筋分解だけではないのです。
総アルコール摂取量と筋力の低下は比例します。
長期にわたる飲酒を続けると、成長ホルモンやインスリン様成長因子-1(IGF-1)の分泌が低下していきますので「筋分解が優位になってしまう」ことになります。
筋肉痛が起こるほどの飲酒を繰り返している場合は最悪です。
アルコールによって「筋繊維の部分壊死が起こる」「タンパク質合成に関わるホルモン分泌が抑制される」などの問題が生じてしまいます。
筋肉が衰え、老人のようなスタイルになってしまうということです。
まとめ
アルコールは純粋な毒物です。
筋肉痛が起こってしまうほどの飲酒(酩酊状態になるほどの飲酒)は、可能な限り避けるべきですし避けなければいけません。
また、軽い晩酌程度の飲酒であっても飲酒期間が長くなるほどに体への悪影響(成長ホルモンやインスリン様成長因子-1の分泌低下)は大きくなっていきます。
「禁酒をしましょう」……というつもりはありません。
しかし、酩酊状態になるほどの飲酒は可能な限り避け、自宅での晩酌であっても適度に休肝日を設けるなどの心がけは必要です。