有酸素運動で体脂肪率が減りにくい理由。減っているのは体脂肪だけ?

有酸素運動では体脂肪率を減らせません。
……というのは半分、嘘なのですが、「有酸素運動だけのダイエットが体脂肪率を減らしにくいダイエット方法」であることは事実です。

特に女性の場合、有酸素運動だけで痩せようとしていませんか?

有酸素運動は、脂肪を燃焼するエクササイズです。
しかし、有酸素運動だけのダイエットアプローチでは、脂肪と同じくらいの除脂肪体重まで落としてしまいますので、体脂肪率は思うように落ちてくれません。

以下、詳細を説明していきます。

有酸素運動のエネルギー源

ヒトの体は、筋肉によって動いています。
そして、筋肉が動くためのエネルギー源には「嫌気的解糖系」と「TCAサイクル(トリカルボン酸サイクル)」が利用されています。

  • 嫌気的解糖系
  • TCAサイクル(トリカルボン酸サイクル)

前者が無酸素運動であり、後者が有酸素運動です。
この違いにより、無酸素運動では糖質のみを消費し、有酸素運動では糖質と脂質を半々で消費するという違いが生まれます。

「有酸素運動=体脂肪を減らす」というのは、この違いによるものです。

有酸素運動は筋肉を減らす?

有酸素運動は、体脂肪を減らします。
しかし、筋繊維(特に速筋繊維)に十分な刺激を与えることができませんので、同時に筋肉まで減らしてしまうことになります。

現実的に体脂肪量は減るのですが、同時に除脂肪体重(骨や筋肉など、脂肪を除いた重量)まで減らしてしまうため、「体脂肪率の数値には大きな変化は現れにくい」という特徴を持つことになるのです。

強い有酸素運動をしすぎると、体が運動時に使うエネルギーを、脂肪の燃焼ではなく、筋肉の分解でまかなおうとします。

引用元:石井直方[著]『世界一モテる体のつくり方』P175より

筋肉を維持する(または増やす)ためには、非日常的な刺激が必要です。

オーバーロードの原則を思い出してください。
筋肉の活動力を高めるためには「日常よりも強い運動刺激(オーバーロード)」を筋肉に課す必要があります。

有酸素運動程度の運動刺激では、筋肉の維持は難しくなります。

結局、どちらも大切

体脂肪率を減らすためには、運動が必要です。
有酸素運動だけというアプローチは間違いであり、筋トレ(無酸素運動)と有酸素運動を組み合わせなければ意味がありません。

  • 無酸素運動:筋量維持、脂肪分解
  • 有酸素運動:脂肪燃焼

体脂肪は、「分解→燃焼」という行程を経て減っていきます。

特に重要視して欲しいのが、筋トレです。
有酸素運動は意識的に運動をしなくてもカバーできますが、無酸素運動は意識的に行わなければ実行されることはありません。

有酸素運動とは、何か特別な運動を指すばかりではなく、実は、日常の活動はすべて有酸素運動なのです。日常生活において、無酸素運動は、基本的にはないと考えていい。あるとしても、瞬間的でごくごく短い時間に過ぎません。

引用元:石井直方[著]『痩筋力-確実に痩せる筋トレ術』P55より

これらのことからも、筋トレの実施がポイントになります。
体脂肪率を減らすためには、「筋トレ(体脂肪の分解)→有酸素運動(分解された体脂肪の燃焼)」という行程を経る必要があるのです。

有酸素運動と筋トレ(無酸素運動)、どちらも重要なエクササイズではあるのですが、あえて優先順位をつけるのであれば、……筋トレを欠かしてはいけません。

まとめ

有酸素運動と筋トレとでは、エネルギー源に大きな違いがあります。
無酸素運動は嫌気的解糖系であり、有酸素運動はTCAサイクル(トリカルボン酸サイクル)です。

  • 嫌気的解糖系
  • TCAサイクル(トリカルボン酸サイクル)

この違いにより、前者では糖質のみを消費し、後者では糖質と脂質を半分ずつ消費します。……一見して「有酸素運動をしていれば体脂肪率を減らせそう」ではあるのですが、話はそこまで単純ではありません。

有酸素運動だけでは、除脂肪体重まで減らしてしまいます。
筋肉を維持する(もしくは増やす)ためには非日常的な刺激が必要不可欠となりますので、意図的に筋トレをしなければ、体脂肪率を減らすことは難しくなるのです。

3 COMMENTS

マルコ

こんにちは。
いつも拝読しております。ありがとうございます。

有酸素運動と無酸素運動について、どう区別すればよいでしょうか。

例えば、スクワットは一般的に無酸素運動だとは思いますが、自重スクワットは負荷が軽く、有酸素運動のようにも思えます。

最初のうちは有酸素でキツくなってくると無酸素になるとか・・・?

ご見解をきかせて頂ければ幸いです。

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タベル

マルコさん、こんにちは。

その考えで間違いはないかと思います。
負荷の軽い筋トレでは、遅筋繊維が優先的に使われ、遅筋繊維では対応できなくなってくると速筋繊維の動員比率が高まっていきます。

この境界線をLT(乳酸性作業閾値)と呼びます。
苦しくない程度の運動強度では有酸素性代謝のみが使われ、苦しくなってくる(LT領域を超えてくる)と無酸素性代謝も使われはじまるということです。

しかし、精神的限界と肉体的限界には大きな隔たりがあります。
ウエイトトレーニングであれば肉体的限界に近いレベルでのトレーニングが可能になりますが、負荷の軽い筋トレでは苦痛に耐え続けなければいけません。

「負荷の軽い筋トレ=精神力を必要とする筋トレ」だということです。

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マルコ

お答え頂きありがとうございます!

理解でき、すっきりしました。
軽い負荷で長く苦痛に耐えるより、ウェイトトレーニングを選びたいです。

今後とも記事を楽しみにしております。
ありがとうございました。

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