自重トレーニングで筋肥大する? 可能ではあるが現実的ではない理由。

自重トレーニングでの筋肥大は可能です。

難しく考える必要はありません。
筋肉は与えられた負荷に応じて肥大化していきますので、レベルに応じた負荷さえ確保できているのであれば筋肉は成長します。

ポイントとなるのは、負荷です。
回数ではありませんので注意してください。

しかし、ここで問題となるのが負荷でもあります。
一般的な自重トレーニングでは確実な負荷不足となりますので、どんなに頑張っていたとしても「思っていたような効果が得られない」ということになります。

不可能ではないのですが、現実的ではないのです。

筋トレとは?

筋トレには、いくつかの種類があります。

筋トレとは、筋肉のトレーニングです。
筋肉は筋繊維の束であり、筋繊維には「持久力に優れている遅筋繊維」と「スピードやパワーに優れている速筋繊維」があります。

【補足】厳密には、遅筋(タイプⅠ)、速筋(タイプⅡa、タイプⅡx、タイプb)などに分けられ、タイプⅠを赤筋、タイプⅡaとタイプⅡxをピンク筋、タイプⅡbを白筋などのように分類することができます。

筋肥大のためには、速筋繊維を刺激する必要があります。
一般的な自重トレーニングの運動強度の場合、「遅筋繊維ばかりが刺激されて、速筋繊維への刺激が不十分になりやすい」というデメリットが生じます。

「筋持久力が高まり(さほど)筋肥大はしない」のです。

筋肥大の条件

筋肥大目的の筋トレは、速筋繊維を刺激します。
遅筋繊維を刺激しても筋肥大は起こりませんが、速筋繊維を刺激すれば(刺激に応じた)筋肥大が起こるためです。

基本的に、筋肉の大きさと筋力には比例関係が成り立ちます。

トレーニングによって筋肉量が増えれば、それに比例して筋力も増えるというのが定説。筋肉が10%太くなったら、筋力も10%伸びると考えていいでしょう。

引用元:石井直方[著]『トレーニング・メソッド』P24より

筋肥大の条件は、速筋繊維を刺激することです。
そして、速筋繊維を刺激するためには「65~90%1RM」ほどの負荷が必要となりますので、自重トレーニングだけでは難しくなっていきます。

これらのことからも、「20回以上できるようになったら、それ以上の筋肥大は望みにくい」というのがセオリーとなっています。

体操選手などのアスリートは?

稀にではありますが「自重トレーニングではムキムキになるのが難しい」ということを説明すると、「体操選手はウエイトトレーニングをしなくてもムキムキじゃないか」……と反論されることがあります。

確かにその通りです。
しかし、一般的な自重トレーニングで体操選手のような肉体を手に入れるためには、「充実した設備」が必要となりますし、「怪我のリスク」は格段に高くなります。

スポーツ動作は、クイックトレーニングです。
クイックトレーニングとはスロートレーニングとは真逆のトレーニングテクニックであり、反動や切り返し動作を利用して瞬間的に強い刺激を与えます。

ウエイトトレーニングをしないアスリートの多くは、「落下によるエネルギーを筋肉に伝える」「体を振り回して(遠心力による)強い刺激を支える」などの動作によって筋肉(速筋繊維)が刺激されているのです。

自宅で再現することは、(ほぼ)不可能であるはずです。
また、瞬間的にしか速筋繊維が刺激されませんので、ウエイトトレーニングよりもトレーニング効率は低くなることになります。

まとめ

自重トレーニングでの筋肥大は可能です。
しかし、「一定レベルまでであれば」という条件が付きますので、「20回以上反復できる種目では筋肥大は難しい」と考えるのが賢明です。

もちろん「筋肥大目的」である場合の話です。
筋持久力を高めることを目的としている場合は「低負荷高回数」のトレーニングが効果的ですので、「意味がない」というつもりはありません。

しかし、ボディメイクやダイエットなど、見た目をよくするための筋トレに取り組んでいるのであれば、優先順位は「速筋繊維>遅筋繊維」となりますので、負荷不足のトレーニングにならないように注意する必要があります。

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