野菜不足は、太る原因になります。
太るか痩せるかは、エネルギー収支によって決まります。
摂取エネルギーよりも消費エネルギーが大きければ痩せ、消費エネルギーよりも摂取エネルギーの方が大きければ太ります。
単純な問題のように思われるかもしれませんが、「食べたものをどのくらいエネルギーとして吸収するのか?」「吸収されたエネルギーをどのくらい消費するのか?」には、野菜の及ぼす影響力を無視することはできません。。
以下、3つの観点からその根拠を説明していきます。
食物繊維
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野菜の摂取量が少ないと、エネルギーの吸収効率が高まります。
野菜や果物には、豊富な食物繊維が含まれています。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、それぞれが食べ物の消化吸収に深くかかわっています。
- 不溶性食物繊維:便の体内通過時間を短縮
- 水溶性食物繊維:脂肪吸収の阻害
水溶性食物繊維は大腸で水を吸収することで、便の通過時間を短縮する働きがあります。水溶性食物繊維には、糖質の吸収速度を遅らせて急激な血糖値の上昇を抑える働きがあります。
また、脂肪の吸収を抑制するのも水溶性食物繊維です。
脂質吸収に必要なミセル形成を阻害するため、食後のコレステロール吸収や血中コレステロール値の上昇を抑えることができます。
引用元:川島由起子[監]『栄養学の基本がわかる事典』P83より
野菜(食物繊維)が不足することによって、想定以上のエネルギーがカラダに吸収されてしまうということになります。
脂肪合成の抑制
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野菜不足(食物繊維の不足)は、腸内環境を乱します。
そして、腸内環境が乱れると脂肪が蓄積されやすくなります。
腸内細菌(善玉菌)のつくり出す短鎖脂肪酸には、脂肪の蓄積を抑制する作用があります。これは、短鎖脂肪酸が脂肪細胞の受容体(センサー)を刺激するためです。
これによって、脂肪細胞による過剰なエネルギーの取り込みを抑制することができます。
全身の代謝向上
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同様に、腸内環境が乱れると代謝が低下してしまいます。
腸内細菌(善玉菌)のつくり出す短鎖脂肪酸には「交感神経を刺激して全身の代謝を向上させる作用」があります。善玉菌のつくり出す短鎖脂肪酸は、エネルギー収支に大きな影響力を持っています。
ダイエットの基本原則である「エネルギー収支のマイナス」をつくり出すためには、積極的に野菜を摂取していく必要があります。野菜不足は「さほど食べていないのに痩せられない」という残念な結果を招いてしまいます。
まとめ
大幅なカロリー制限をすれば痩せられるかもしれませんが、長期的な健康維持のためには、積極的に野菜を摂取して「無理なくエネルギー収支のマイナスをつくる」というアプローチが必要となります。
また、腸内細菌叢(腸内フローラ)が乱れると、便秘、肌荒れ、心の不安定など様々なデメリットが引き起こされますので、「野菜は重要な食材である」ということを忘れてはいけません。