短鎖脂肪酸を多く含む食品。食べ物による摂取よりも腸内細菌に頼る。

短鎖脂肪酸は、食酢やバターなどに含まれています。
食酢には酢酸が含まれていますので「エネルギー代謝の向上」が見込めますし、バターには酪酸が含まれていますので「アレルギー反応の抑制」が見込めます。

しかし、短鎖脂肪酸は食品から摂らなくても腸内細菌によってつくり出されます。

短鎖脂肪酸をつくり出す細菌(バクロテロイデス門の腸内細菌)は、食物繊維やオリゴ糖をエサとしています。食品から短鎖脂肪酸を摂取するよりも、腸内細菌につくってもらった方が自然ですしデメリットもありません。

以下、3つの観点からその理由を説明していきます。

摂取方法の優位性

短鎖脂肪酸は、腸内細菌によってつくられます。

いくつかの食品には、短鎖脂肪酸が含まれています。
代表的なものには乳製品(酪酸)や食酢(酢酸)などがあり、それらの食品を食べただけで体調がよくなることも珍しくありません。

  • バター:総脂肪含有量の約12%が酪酸
  • 食酢:3~5%が酢酸

バターは総脂肪含有量の約12%が酪酸であり、食酢は3~5%が酢酸です。

意外と効率的な摂取方法だと思われるかもしれません。
しかし、バターは高カロリーですし、食酢には強い刺激がありますので、短鎖脂肪酸のメリットよりも偏った食事バンスのデメリットが上回ってしまう恐れがあります。

また、食酢には酸蝕歯(さんしょくし)のリスクがあることも忘れてはいけません。

短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)は、いずれも酸性成分です
お酢を摂取しているだけでも脂肪合成の抑制や代謝の向上作用を得ることはできますが、歯の表面を柔らかくする性質があるため、酸蝕歯のリスクがつきまといます。

「酢酸は血液中に入ったあと、すぐに分解されるので、お酢を飲んでも効果は一時的です。一方、腸内細菌は腸の中に食べ物がある間、ずっと短鎖脂肪酸を出し続けます。そのため、血中濃度が維持され、効果が長続きするのです」

引用元:NHKスペシャル取材班[著]『腸内フローラ10の真実』P33より

食べ物による摂取には、メリットがあります。
それでも、最初に考慮すべきは「腸内細菌による短鎖脂肪酸の生成」であり、必ずしも意図的に外部からの摂取に頼る必要はありません。

食事の楽しさを放棄しないように注意してください。

特有の刺激成分

短鎖脂肪酸には、独特の臭いがあります。
多くの場合、食品に添加することができません。

  • 酢酸:お酢の臭い物質
  • 酪酸:銀杏の臭い物質
  • プロピオン酸:刺激的な酸臭

短鎖脂肪酸とは、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの総称です。

いずれの成分も「酸っぱい刺激臭」が特徴であるため、食品に添加することは難しいとされています。お酢に含まれる酢酸であっても、適量だからこそ美味しいのであって、度を超せば不快な刺激臭になります。

固有の働き

短鎖脂肪酸には、固有の働きがあります。

  • 酢酸:エネルギー代謝の促進など
  • 酪酸:蠕動運動の促進など
  • プロピオン酸:脂肪合成の抑制など

たとえば整腸作用が強いのは酪酸ですし、脂肪合成の抑制や代謝向上作用が強いのは酢酸やプロピオン酸です。それぞれに固有の働きがあるため、食品から摂取するよりも腸内細菌に生成してもらった方が効率的なのです。

これらの短鎖脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維、レジスタントスターチ、オリゴ糖などを代謝した際に生成されます。短鎖脂肪酸を食品から摂取するよりも、腸内細菌のエサを供給することがポイントです。

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まとめ

短鎖脂肪酸は、摂取するものではなく腸内細菌によって生成されるものです。

腸内細菌によって生成された方が効率的に作用します。
リスクをとらずに短鎖脂肪酸の恩恵を受けるためには、食品から摂取するのではなく腸内細菌のエサを供給することがポイントになります。

食物繊維、レジスタントスターチ、オリゴ糖など、短鎖脂肪酸を生成する腸内細菌のエサを供給することこそが、短鎖脂肪酸を増やす効率的な手段となります。

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