筋トレ後は、ゆっくりお風呂に入ることをおすすめします。
トレーニング後の入浴に、デメリットはありません。
デメリットがないどころか、筋肉の成長に対してプラスになる材料が多く、ゆっくりお風呂に浸かって心身ともにリラックスすることはとても効果的です。
筋繊維の炎症を不安視する必要もありません。
トレーニングによる炎症は微細なものです。
アスリートのように本格的なトレーニングを実施している場合であってもアイシングを必要とするような炎症は稀にしか起こりません。
よって、トレーニング後にはお風呂に入って血行を促すことをおすすめします。
お風呂とストレスホルモン値
入浴は、ストレスホルモン(コルチゾール)の値を下げます。
コルチゾールは副腎皮質ホルモンの一種です。
コルチゾールには「筋肉を減らして体脂肪を蓄えようとする働き」がありますので、過剰なストレス状態になるとトレーニング効果が減少してしまうことになります。
※コルチゾールは糖質コルチコイドの一種です。
糖質コルチコイドの分泌が過剰になると、糖新生により高血糖となり、このためインスリンが分泌され、インスリンが脂肪合成を促進します。
引用元:富瀬規嗣[著]『よくわかる生理学の基本としくみ』P204より
しかし、無くてはならないホルモンでもあります。
過剰な場合には悪影響になるホルモンですが、適切な分泌量であれば「エネルギー供給を促進させる」「炎症を抑える」などのメリットのある重要なホルモンです。
強度の高い筋トレは、コルチゾールを増やします。
そこでおすすめしたいのが入浴です。
入浴にはコルチゾールの過剰分泌を抑える効果があることが確認されていますので、「お風呂でリラックスする」という行為は内分泌の点からもおすすめできるのです。
温度による筋肉の成長促進
筋肉を温めることで、筋肉の成長が促されます。
筋肉を温める利点は複数あります。
例えば、血行が良くなれば「栄養が行き渡りやすく」なりますし、ヒートショックプロテイン(HSP)による「細胞の活性化」にも期待できます。
血行促進がメリットになることは言うまでもありませんよね?
ここでのポイントは、ヒートショックプロテインです。
ヒートショックプロテインは筋肉を温める(熱によるショックを与える)ことで増加し、細胞を活性化させることが確認されています。
HSPは、筋トレによっても増加します。
筋トレ後のお風呂は、トレーニングとの相乗効果によって「より効果的にHSPを増やせるのでは?」と推測されているのです。
今のところ、実証できるデータは存在しません。
しかし、プラスになることはあってもマイナスになることはないと考えられています。
例外は怪我をした直後
怪我をした場合は、必ず冷やさなければなりません。
怪我とは、靭帯や筋肉の細胞が損傷することです。
損傷部位からは細胞液や血液が漏れ出して「健康な細胞に悪影響を与える」ことになりますので、素早くアイシングすることがポイントです。
怪我の当日にお風呂に入るのは最悪です。
「痛みを感じたときは、温めるのと冷やすのではどっちがいいですか?」
ときどき受ける質問だが、答えは「どちらか迷ったら冷やす」。温めたほうがよい状態の時に間違って冷やしてしまっても重症化はしにくいが、冷やしたほうがいい損傷を間違って温めると悪化するケースが多いためだ。引用元:中野ジェームズ修一[著]『かしこい体の鍛え方』P126より
怪我が疑われる場合には、冷やします。
軽度の怪我には温めることが有効です。
しかし、怪我の程度は難しい判断となりますので、「悩んだら冷やす」ことが怪我を重症化させないポイントとなります。
積極的な回復に温冷浴という選択
温冷浴は、疲労回復に効果的なテクニックです。
温冷浴とは、温めると冷やすを交互に繰り返す入浴方法です。
お風呂であれば「風呂→水風呂→風呂→水風呂」のように繰り返し、サウナであれば「サウナ→水風呂→サウナ→水風呂」のように繰り返します。
自宅の場合には、風呂と水シャワーにて代用します。
温冷浴の効果は、血流促進にあります。
温冷浴によって血管(毛細血管)の拡張と収縮を繰り返すことによって、安眠や冷え性の改善につながるテクニックだと言われています。
無理のない範囲で取り入れていきたい入浴法です。
まとめ
筋トレ後のお風呂には、複数のメリットがあります。
主な効果としては「血流促進」「リラックス効果(ストレスホルモン値を下げる)」「HSPによる細胞の活性化」などがあります。
注意点としては、「怪我をしたら温めてはいけない」ことです。
怪我を温めてしまうと重症化してしまうリスクが高まりますので、判断に悩んだら「冷やす(アイシングする)」ことをおすすめします。