便秘と運動。蠕動運動を促すためにも定期的な運動習慣が必要。

便秘解消のためにも、定期的に運動をする必要があります。

便秘は「食事管理”だけ”によって改善できる」と信じて疑わない人もいますが、実際には、生活全般を見直すことがポイントになります。食事だけでは不十分ですし、運動だけでも不十分なのです。

以下、3つの観点からその根拠を説明していきます。

腹圧

腹筋が弱いと、腹圧をかけられなくなります。

スムーズな排便には、筋力が必要です。
便が直腸まで下りてくることで”便意”が起こり、トイレに向かうことになります。そこで、おなか(特に下腹)に力を入れていきむことで排便します。いきむことで腹圧がかかり、腸が刺激されて排便を促すのです。

腹圧とは、腹腔内圧のことです。腹部の深層筋を収縮させる(お腹を凹ませる)ことで腹腔内圧を高めることができます。

腹筋の筋力が弱すぎると、適切に腸を刺激すること(腹圧をかけること)が難しくなり、スムーズな排便がおこなわれなくなります。

ロコモティブシンドローム

筋力(筋肉)は、使わなければ弱っていきます。

筋肉を維持するためには”強い刺激”が必要であり、日常生活やウォーキングレベルの運動強度では筋量を維持することができません。そのため、運動習慣のない生活を送っている人ではロコモティブシンドロームが問題になっています。

ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)とは、筋力や関節機能の低下などにより、自力で体を支えたり動かしたりすることが困難になる状態です。

また、運動を組み合わせないダイエット、健康目的の少食、加齢なども筋肉を減らす要因となります。便秘の改善だけではなく全身の健康のためにも、”筋量の維持”を心がける必要があるのです。

蠕動運動

運動は、腸を刺激して蠕動運動を促します。
定期的な運動習慣をもつことによって、「腸の動きが良くなる」「排便に必要な筋力を維持できる」「交感神経のバランスがとれる」などのメリットがあります。

  • 筋トレ:筋量を維持する。
  • 有酸素運動:体調を整える。

蠕動運動は、善玉菌が優勢の腸内細菌叢(腸内フローラ)や、食事、運動などによって刺激されます。蠕動運動を活発にするためにも、定期的な運動習慣をもつことが必要です。

まとめ

便秘の原因が筋力の低下にある場合、いくら腸内細菌叢(腸内フローラ)を整えたり便秘の解消に効果のある食べ物を食べたところで、根本的な便秘の解消にはつながりません。

また、腸内細菌叢は精神的ストレスに大きな影響を受けます。
腸内細菌がつくる化合物には、”脳腸軸”と呼ばれる一種の通信網によって中枢神経系と直接つながっているものもあります。

定期的な運動習慣には、筋量維持や精神的ストレスの緩和などの効果があります。根本的な便秘の解消に取り組むのであれば、運動を避けては通れないということです。

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