腸内環境が整っていると、ダイエットがスムーズに進みやすくなります。
腸内細菌叢(腸内フローラ)は、脂肪の蓄積や燃焼に対して大きな影響力を持っていることが確認されています。信じられないかもしれませんが、太りやすい腸内細菌叢と、太りにくい腸内細菌叢が存在するのです。
このことからも、闇雲に摂取カロリー(食事量)を減らすのではなく、腸内環境を意識した食事内容に切り替えることがポイントになります。
以下、3つの観点からその根拠を説明していきます。
腸内細菌叢(腸内フローラ)
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腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れは、肥満の原因になります。
無菌マウスを使った実験では、同じ摂取カロリーに設定したとしても「腸内細菌叢の違いによって蓄積される脂肪量が変化する」という結果がでています。
- 痩せているマウスの腸内細菌を移植→痩せる
- 太っているマウスの腸内細菌を移植→太る
これは、ヒトであっても同様です。
痩せているヒトの腸内細菌叢と太っているヒトの腸内細菌叢には、明確な違いがあることが確認されています。
短鎖脂肪酸
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腸内細菌がつくりだす短鎖脂肪酸には、天然の痩せ薬としての作用があります。
- 酢酸
- 酪酸
- プロピオン酸
短鎖脂肪酸とは、酢酸、酪酸、プロピオン酸という3つの物質の総称です。
腸内細菌(バクテロイデスなど)によってつくられる短鎖脂肪酸は、腸から吸収されて全身をまわっていきます。脂肪細胞や交感神経には短鎖脂肪酸を感知する受容体がついており、それぞれに異なる影響を与えます。
- 脂肪細胞:脂肪の蓄積をストップ
- 交感神経:全身の代謝を向上させる
ダイエットの基本原則が「エネルギー収支」であることに変わりはありません。
しかし、腸内環境の違いによって「食べる量が同じであっても、エネルギー収支には違いが生まれる」ということも事実です。
プレバイオティクス
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間違った食事制限は、善玉菌のエサを不足させます。
短鎖脂肪酸をつくり出す腸内細菌(バクテロイデスなど)は、食物繊維やオリゴ糖など、ヒトが消化できない炭水化物をエサとしています。間違った食事制限は、腸内細菌(善玉菌)のエサまでも不足させてしまいます。
- プロバイオティクス(Probiotics)
- プレバイオティクス(Prebiotics)
プロバイオティクスは生きた菌を摂取して腸内環境をよくしようとするアプローチ。プレバイオティクスは常在菌(善玉菌)を増やすことで腸内環境をよくしようとするアプローチです。
間違った食事制限では、プロバイオティクスとプレバイオティクスの両面から腸内細菌叢(腸内フローラ)にダメージを与えてしまうことになります。
まとめ
ポイントは、プロバイオティクスとプレバイオティクスになります。
前者は、積極的に発酵食品を食べること。後者は、腸内細菌のエサとなる食物繊維(特に水溶性食物繊維)やオリゴ糖を積極的に摂取することです。
即効性はありませんが、数週間後から数ヶ月後に、「以前よりも食べているのにスムーズにダイエットが進んでいるなぁ」ということを実感できるようになるはずです。(※もちろん、オーバーカロリーには注意してください)