抑えきれないほどのイライラは、腸内環境(腸内フローラ)が乱れていることが原因になっている可能性があります。
特に、理由のないイライラを感じることがあるのであれば注意が必要です。
- 待てなくなる。
- 集中力が続かなくなる。
- 理由もなくイラつく。
腸内環境が乱れてくると、以前であれば何とも思わなかったようなことでも感情が揺さぶられるようになります。日常生活に支障を来すことも珍しくありません……。
以下、3つの観点からその根拠を説明していきます。
腸内細菌叢が脳の過剰反応を抑制
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ちょっとしたことでイライラしてしまうのは、脳の過剰反応です。
健全な腸内細菌叢をもつ被験者と乱れた腸内細菌叢をもつ被験者に対して、同様の”ストレス(刺激)”を与えた実験があります。結果、乱れた腸内細菌叢をもつ被験者において「脳の過剰反応」が確認されています。
健全な腸内細菌をもつ被験者では”興奮性が不活発”だったのに対して、乱れた腸内細菌をもつ被験者では”過剰な興奮性”がみられたということです。
気分をコントロールする腸内細菌叢
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ヒトの気分は、少なからず腸内細菌にコントロールされています。
- セロトニン:幸せを感じる神経伝達物質
- ドーパミン:やる気につながる神経伝達物質
セロトニンとドーパミンは、脳で分泌される神経伝達物質です。
しかし、その原料となる前駆体は腸でつくられているため、腸内細菌叢(腸内フローラ)が乱れると分泌量が著しく低下してしまいます。
腸内細菌叢の乱れが、気分に対して悪影響をもたらしている可能性があるということです。
脳の発達と腸内細菌の多様性
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腸内細菌叢(腸内フローラ)は、脳の発達に影響を与えます。
ヒトの腸内細菌叢(腸内細菌の構成)は、1~5歳までの間に決定してしまうと考えられています。それ以降に有用菌を摂取したとしても、通過菌としての役割しか果たさなくなります。
無菌マウスと(成長初期に)多様性のある腸内細菌叢をもつマウスでは、無菌マウスにおいて「強い攻撃性や衝動性を持つ性格になる」という実験結果があります。
成長初期における腸内細菌叢の多様性が、「脳の発達に少なからず影響を与えている」ということです。この結果は、成長初期に腸内細菌叢が乱れていると「脳が健全に成長できない」こと示唆しています。
まとめ
ヒトと腸内細菌は、密接にかかわり合って”共生”しています。
共生というと、良いことばかりをイメージしてしまいがちです。
しかし、腸内細菌は欠かすことのできないパートナーである一方、悪玉菌が優位になれば”平気でヒトに対して悪影響を与える”ことも事実です。
心の健康においても、腸内細菌は敵にも味方にもなり得ます。意味もなくイライラしてしまうのであれば、腸内細菌叢の乱れを疑ってみるべきではないでしょうか?