把持力を鍛えるためには、パワーボールがおすすめです。
把持力とは、握ったものを離さないようにこらえる力であり、握力とは異なるものだと考えられています。
- 把持力:握ったものを離さない力
- 握力:握り込む力
パワーボールは、(内部ボールが回転することによって)暴れるボールを押さえ込むトレーニング器具です。握り込む力(握力)ではなく、握ったものを離さない力(把持力)を鍛えることができます。
トレーニングの質
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効率的な筋力トレーニングには、把持力が必要です。
懸垂(チンニング)、ワンハンドダンベルローイング、デッドリフトなどの種目では、主動筋が刺激される前に把持力がギブアップしてしまうことも珍しくありません。
把持力を補助するために、リストストラップやパワーグリップが用いられます。
補助器具を使わなければトレーニングの質が低下してしまうためです。
しかし、補助器具に頼り切っていては、いつまでたっても把持力を強化することができません。・・・であれば、パワーボールなどを使用して「把持力強化に特化したトレーニング」を実施することは有効な手段となります。
握力と把持力
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把持力は、エキセントリック収縮です。
握ったものを離さない力(把持力)が握り込む力(握力)以上の力を発揮できるのは、「把持力=エキセントリック収縮」であるためだと考えられています。
エキセントリック収縮は、コンセントリック収縮よりも大きな力を発揮できます。
たとえば、握力が50kgしかなくても50kg以上のものを持ち上げることができますよね? ・・・これは、握力はコンセントリック収縮であり、把持力はエキセントリック収縮であるためです。
- コンセントリック収縮(短縮性収縮):縮みながら力を発揮
- エキセントリック収縮(伸張性収縮):伸ばされながら力を発揮
もちろん、把持力(伸張性収縮)を強化するためには握力(短縮性収縮)も強化する必要があります。握力を強化した上で、把持力の強化に取り組むのが一般的な方法となります。
パワーボールはエキセントリック収縮によるトレーニング器具ですので、トレーニング時にグリップが抜けてしまうことがあるのであれば、試してみる価値のあるトレーニング器具であるといえます。
まとめ
パワーボールの効果は、把持力の強化です。
握力と混同してしまいがちな把持力ですが、握り込む力と握ったものを離さない力は(生理学的には)違った動きとなります。
多くのスポーツやトレーニング種目で必要とされるのは、「把持力>握力」となりますので、把持力は意識的に鍛える必要があります。
把持力は鉄棒にぶら下がっているだけでも鍛えられるのですが、どうせなら楽しみながら鍛えたいですよね? 把持力強化のひとつの刺激として、パワーボールを取り入れてみてはいかがでしょうか?