筋トレには、目的に応じた負荷設定があります。
筋力を向上させるために適している負荷、筋肥大に適している負荷、筋持久力を向上させるために適している負荷、似ているようで意味合いが違います。
- 筋力の向上:90%1RM以上
- 筋肥大:70~80%1RM
- 筋持久力の向上:65%1RM以下
高負荷トレーニングでは、神経系の発達が顕著になるため筋力の向上が大きくなります。低負荷トレーニングでは、高回数型のトレーニングになるため筋持久力の向上が大きくなります。
筋肥大に適しているのは、物理的刺激と反復回数(化学的刺激)のバランスのとれている中負荷トレーニングです。
筋力の向上
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90%1RM以上の負荷は、筋力の向上に適しています。
90%1RMというのは反復回数が約4回以下になる負荷設定であり、このような高負荷トレーニングには「筋力は向上するが筋肥大はしにくい」という特徴があります。
トレーニングのポイントとしては、長めのセット間インターバルを設定して「化学的ストレスからの回復を待ってセット数を重ねていくこと」です。筋力向上のためには、物理的ストレスが鍵を握ります。
「体重を増やさずに筋力を向上させる」というトレーニング効果があることから、体重制限のある競技では積極的に用いられるトレーニング方法です。
筋肥大
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70~80%1RMの負荷では、筋肥大の効果が大きくなります。
70~80%1RMとは、反復回数が約8~12回になる負荷設定です。
このくらいの負荷をかけたトレーニングでは、トータルの出力エネルギー(負荷×反復回数)が最大になるため、筋肥大を促しやすくなります。
負荷と反復回数のバランスがとれているということは、物理的ストレスと化学的ストレスのバランスがとれていることを意味します。
力学的な刺激と代謝的な刺激では、どちらのほうが筋肉を太く強くするのに効果的か。その結論は出ていませんが、おそらく両方とも大事で、片方だけでは不十分でしょう。
引用元:石井直方[著]『石井直方のトレーニングのヒント』P35より
物理的ストレスだけ、化学的ストレスだけであっても(それなりに)筋肉は大きくなります。しかし、効率的に筋肥大させたいのであれば70~80%1RMがベースとなるというのが現在のスタンダードな考え方になっています。
筋持久力
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65%1RM以下の負荷では、筋持久力の向上が大きくなります。
65%1RMというのは、反復回数が約18回以上になる負荷設定です。
反復回数が増えることから、出力エネルギーを増やすためには有利に働きます。しかし、物理的ストレスが不足してしまうために筋肥大効果は大きくありません。
よく聞くことのある「腕立て伏せを100回やっているのに大胸筋が大きくならない」というのは、筋持久力を向上させるためのトレーニング(代謝的ストレスに重きを置いたトレーニング)を実施しているためです。
無駄ではありませんが、目的を見失ってはいけません。
まとめ
筋トレの効果を最大限に享受するためには、「負荷によって回数をコントロールする」という意識が必要です。耳にすることの多いであろう「10回3セット」というトレーニング変数は、「10回できる負荷で3セット実施する」という意味です。
- OK:10回できる負荷に調節する。
- NG:10回に達したら止める。
筋トレの回数というのは、負荷によって調節すべきものなのです。
そして、筋トレの目的(筋力の向上、筋肥大、筋持久力の向上)には、それぞれに最適な負荷設定があります。
負荷が適切でないと、思うようなトレーニング効果はあらわれません。