筋肉痛が原因で便秘になることがあります。
直接的な原因として考えられるのは「(筋肉痛により)腹圧がかけられないこと」、間接的な原因として考えられるのは「精神的、肉体的ストレス」です。
前者は直腸性便秘(便が直腸まで到達しているが排便できない便秘)のようなイメージであり、後者は弛緩性便秘(腸の運動機能が低下することによる便秘)のようなイメージです。
いずれにしても、筋肉痛と便秘は無関係ではありません。
腹圧による腸への刺激
◇
筋肉痛(特に腹直筋の筋肉痛)がひどいと、便秘のリスクが高まります。
スムーズな排便には腹圧が必要です。
たとえ便意が起こっていたとしても、ひどい筋肉痛で腹圧がかけられない状況であると下腹部の力を使って”いきむ”ことができません。
一般的な成人男性であっても、(筋萎縮の進んだ)高齢者と同じようなメカニズムの便秘が起こりやすくなる可能性があるということです。
こうしていきむことで、腹圧がかかって腸が刺激され、排便を促進するのです。この際に、特におなかの中央部分を縦に走る腹直筋の力を使います。
引用元:松生恒夫[著]『排便力が身につく本』P121より
改善策としては、筋肉の回復を待つ以外にありません。
1~2日間程度の便秘には何の問題もありませんので、ストレスを感じることなく筋肉の回復に努めることがポイントです。
精神的、肉体的ストレス
◇
精神的、肉体的ストレスは、便秘の原因になります。
ストレスを受けると、一時的に便秘になることがあります。
これは、自律神経(交感神経と副交感神経)のうち交感神経の作用が強くなることによるもので、腸管の運動が抑制されて便秘を引き起こします。
- 消化管運動
- 交感神経:抑制
- 副交感神経:亢進
消化管運動は、交感神経が優位になると抑制され、副交感神経が優位になると亢進します。ストレスというのは、生き抜くための神経(交感神経)を優位にしますので、必然的に消化管運動が抑制されることになります。
筋肉痛とストレスは関係ないようにも思えますが、筋肉痛が起こるほどの激しい運動は肉体的なストレスをかけた結果ですし、運動すること自体に(知らず知らずの)ストレスを感じてしまっている人も少なくありません。
まとめ
排便するためには、おなか、特に下腹に力を入れて力む(腹圧を高める)必要がありますので、筋肉痛になれば「いきめなくなる」ことは十分に考えられます。
また、消化管運動(この場合、大腸の運動)は自律神経によってコントロールされていますので、ストレスなどによって交感神経優位の状態が続けば、消化管運動は抑制されることになります。
筋肉痛による便秘は、珍しいことではありません。
「バランスのとれた食事と十分な休息によって筋肉を回復させること」・・・これこそが便秘解消への最短ルートとなります。