スロートレーニングには効果があります。
しかし、一般的に考えられているような手軽なトレーニングテクニックではありませんので、場合によっては「効果がない」と感じられても不思議ではありません。
スロートレーニングでは、いくつかのポイントを理解している必要があります。
- 種目別の主導筋を理解しているか?
- 収縮状態を維持できているか?
- 負荷が弱すぎないか?
スロートレーニングには、テクニックが必要です。
主導筋を理解するためにはそれ相応の知識が必要ですし、緊張状態を維持するためには高い集中力が必要です。
スロートレーニングは、難しいトレーニングテクニックなのです。
以下、詳細の説明です。
主導筋と補助筋の把握
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筋トレでは、動員される筋肉を把握しておく必要があります。
たとえば、腕立て伏せ。
腕立て伏せの主導筋は「大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部」となり、補助筋として「前鋸筋、僧帽筋、腹直筋」などが動員されます。
懸垂であれば、主導筋「広背筋、上腕筋」、補助筋「僧帽筋、菱形筋、上腕二頭筋」といった具合です。
- 腕立て伏せ:大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部
- 懸垂:広背筋、上腕筋
腕立て伏せは大胸筋の収縮によって行われるトレーニング、懸垂は広背筋の収縮によって行われるトレーニングということになります。
この点の意識が不十分であると、スロートレーニングの基本でもある「筋肉の張力を維持する」ことが難しくなり、結果として「効果のないスロートレーニング」になってしまうリスクがあります。
筋発揮張力維持スロー法
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筋発揮張力維持スロー法(ノンロックスロー法)。
スロートレーニングの正式名称です。
スロートレーニングは「ゆっくり動かすこと」ばかりが注目されがちなトレーニングテクニックではありますが、それと同じくらい、「筋の張力(緊張)を維持すること」が重視されます。
ポイントは、「筋の張力を維持する」ことと、「ゆっくり動作すること」です。
これによって筋肉が刺激されます。
血流が制限されることで酸欠になりますので(酸素を必要としない)速筋繊維が動員されやすくなりますし、乳酸等の蓄積により化学的ストレスがかかることになります。
- 速筋繊維が運動に使われるようになる
- 化学的ストレスによって筋肉を刺激する
高い集中力が不可欠です。
ターゲットの筋肉に負荷をかけ続けながら(負荷が抜けないように注意しながら)反復していかなければなりませんので、集中力の度合いがトレーニング効果に大きな影響を与えることになるのです。
よって、効果的なスロートレーニングができるのは「1種目につき2セットまで」だと考えられています。
適切な負荷設定
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スロートレーニングであっても、物理的刺激は必要です。
筋力トレーニングの刺激には、物理的刺激と化学的刺激があります。
前者は筋肉への強い負荷によって「微少な損傷を生じさせるストレス」であり、後者は代謝物によって「化学的環境を変化させるストレス」です。
- 物理的ストレス
- 化学的ストレス
物理的ストレスと化学的ストレスは、どちらも重要です。
「スロートレーニングは軽い重量でも効かせることができる」・・・という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、軽すぎては意味がありません。
最低限、50%1RMほどの負荷は必要となります。
研究結果によると、通常のスピードでトレーニングをしたときとスロトレを比較すると、スロトレの50%1RMが80%1RMに相当することが分かってきました。
引用元:石井直方[著]『筋力トレーニングの時間短縮プログラム』P18より
80%1RMという負荷は、反復回数8回に相当する負荷です。
このことからも、スロートレーニングで8回を大幅に超えるような負荷設定では「明らかな強度不足」であり、スムーズな筋肉の成長(筋肥大)を望むのであれば、物理的刺激(負荷)を高めていく必要があります。
まとめ
スロートレーニングは、効果的なトレーニングテクニックです。
しかし、ターゲットとなる筋肉を意識できていなかったり、張力を維持することができなかったりすると、トレーニング効果を享受することは難しくなります。
簡単なトレーニング方法でも、楽なトレーニング方法でもありません。
「効果がない」・・・ということは、筋肥大に必要な条件を満たせていないということです。トレーニングをあきらめてしまう前に、トレーニング内容の見直しをしてみることをおすすめします。
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