一般的なダイエットでは、空腹感に耐える必要はありません。
四六時中、空腹感に悩まされているのであれば、間違った食事管理をしている可能性があります。本来、標準体型になるための食事管理は、強い空腹感を感じるようなものではありません。
そもそも、ダイエットには時間がかかります。
特に除脂肪体重を減らさずに体脂肪だけを減らそうと思えば、月2kg減のペースが上限になると考えてください。
空腹感を感じていたのでは続きませんし、続けられたとしても精神的にも肉体的にも大きなストレスになってしまいます。
空腹感のないダイエット
◇
正しい食事管理をしていれば、就寝前に多少の空腹感を感じることはあっても、四六時中、空腹に悩まされるようなことはありません。
強い空腹感を感じているのであれば、「必要以上に摂取カロリーを制限してしまっている」「質の低い食事内容になっている」「食事のタイミングが根本的に間違っている」・・・などの理由が考えられます。
- カロリー制限:少なくても「目標体重kg×30kcal」は食べること。
- 食材の質:PFCバランスと食材の栄養価
- タンパク質:最低でも体重kg×1.2g以上
- 脂質:飽和脂肪酸を減らして不飽和脂肪酸(特にオメガ3系)を増やす。
- 糖質:GI値の低い炭水化物を選ぶ。
- タイミング:運動前後の摂取カロリーを増やして就寝前は減らす。
細かな内容はここでは割愛しますが、クリーンな食事であれば「適量であっても大きな満足感がある」一方、ジャンキーな食事ではお腹いっぱい食べたとしても大きな満足感は得られません。
お腹が空いていなくても「食べたい」という欲求が強くなってしまいます。
ダイエットの食事管理において、最初に目指すべきは「クリーンな食事内容で一般的なエネルギー摂取量を目指す」ことです。初期段階であれば、お腹いっぱいに食べても体脂肪は減少傾向を示します。
摂取エネルギーは減らしすぎない
◇
大きすぎる摂取エネルギーの制限は、スムーズな体脂肪の減少を阻害します。
エネルギー収支のマイナスをつくり出さなければ、痩せることはできません。
エネルギー収支のマイナスとは、「消費エネルギー>摂取エネルギー」の状態にコントロールすることを指します。
食事制限によって摂取エネルギーを減らし、運動によって消費エネルギーを高めることでエネルギー収支のマイナスをつくり出していきますが、極端に摂取エネルギーを減らしてしまうと体脂肪以上に除脂肪体重を減らしてしまいます。
極端な食事制限をすると、脂肪はなくならないのに、その内側にある筋肉がどんどん萎えていってしまうことにもなりかねないのです。
引用元:石井直方[著]『石井直方のトレーニングのヒント』P204より
体脂肪だけを減らす為には、体に危機感を感じさせないことです。
エネルギー収支のマイナスが生じると、アドレナリンが分泌されることによって体脂肪が分解されます。さらにエネルギー収支のマイナスが大きくなると、コルチゾールが分泌されて筋肉を分解してしまいます・・・。
エネルギー収支のマイナスは、小さく、長期的であることがポイントとなるのです。
食べて痩せるという意識
◇
食事制限はストレスなく動ける(トレーニング強度を落とさない)ことが前提条件となります。トレーニング強度を維持できない状態になっているのであれば、ダイエット計画(特に食事管理方法)を見直してみる必要があります。
一定量は食べなければ、筋肉を維持することはできないのです。
筋トレダイエットの摂取エネルギーの目安は、「目標体重kg×30kcal」です。
この値は筋トレダイエットにおいて「最低限食べなければいけない摂取エネルギー」だと考えてください。
1日の摂取エネルギーの目安は、目標体重×30kcal程度とされている。目標体重が60kgなら1800kcalといった具合だ。
引用元:石井直方、谷本道哉[著]『体脂肪が落ちるトレーニング』P161より
「目標体重kg×30kcal」以下まで制限してしまうと、正しいトレーニング変数でのトレーニングを継続したとしても、筋肉を増やす(もしくは維持)する事は難しくなりますし、空腹感に悩まされることは避けられなくなります。
絶対的な数値ではありませんが、それなりに実践的な数値ではあります。
まとめ
面白いように体重は減るかもしれませんが、減少した体重の内訳は「体脂肪<除脂肪体重(筋肉や骨など)」になってしまいます・・・。
筋トレダイエットに取り組んでいるのであれば、最低限「目標体重kg×30kcal」くらいは食べておきたいところです。
このくらいの摂取エネルギーを確保できていれば、トレーニング強度を維持しやすくなりますし、筋トレ初心者であれば筋肉を増やしながら体脂肪を減らすことも不可能ではありません。
なにより、空腹感とは無縁で体脂肪だけを減らすことができます。