ダイエット目的の有酸素運動は、心拍数110~120ほどであることがポイントです。
110以下では(積極的な運動としての)エネルギー消費量が小さすぎますし、120以上になってくると消費されるエネルギー源が「脂肪+糖質→糖質だけ」にシフトしていきます。
もっとも効率的に脂肪を燃焼できるのが、心拍数110~120です。
もちろん、心拍数110~120というのは目安でしかありません。
最大酸素摂取量(体に取り込むこのできる最大の酸素量)には個人差があり、有酸素性の運動能力によっては大きな違いが生まれてしまいます。
有酸素運動の強度
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有酸素運動の運動強度は、最大心拍数の79パーセント以下です。
有酸素運動は、運動強度の応じて3つに分類することができます。
最大心拍数の79パーセント以下が有酸素ゾーンであり、最大心拍数の91パーセント以上が無酸素ゾーンです。そして、80~90パーセントを閾値ゾーンと呼びます。
- 有酸素ゾーン:最大心拍数の79パーセント以下
- 閾値ゾーン:最大心拍数の80~90パーセント
- 無酸素ゾーン:最大心拍数の91パーセント以上
有酸素ゾーンをはずれてくると、血中に乳酸がたまっていきます。
乳酸がたまることによって閾値ゾーンであれば10分以内、無酸素ゾーンであれば3分以内には運動の継続が困難な状態になります。
最大心拍数の79パーセント以下というのは、「20~60分ほどの運動を継続することのできる運動強度」と言い換えることができます。
心拍数の調べ方
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心拍数の調べ方は、至ってシンプルです。
手首や心臓に手を当てて、1分間の心拍数をカウントします。
1分間のカウントが面倒であれば、(多少の制度は落ちますが)「10秒間のカウント×6」「6秒間のカウント×10」などでも可能です。
また、市販の心拍モニターでも計測できます。
しかし、気温、湿度、運動方法などの条件によっては「誤差が大きくなる可能性がある」ことも事実ですので、あまり一般的な方法とは言えません。
トークテストによる運動強度
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一般的には、トークテストと呼ばれる方法が用いられています。
トークテストとは、運動中に「どれくらい喋れるのか?」という点を運動強度の判断材料とする方法です。
- 有酸素ゾーン:普通に会話ができる
- 閾値ゾーン:二言、三言であれば会話ができる
- 無酸素ゾーン:声を発するのがやっと
人間の感覚というのは、非常に優れています。
トークテストに慣れている人の場合、トークテストでの感覚と心拍数の数値には大きな開きがみられなくなってくることが確認されています。
ただし、自己顕示欲の強い人は注意してください。
自己顕示欲が強い(自信家である)人ほど、感覚と実際の運動強度には大きな開きができてしまうことが確認されています。
必要以上に、頑張ってしまう可能性が高いのです。
運動によるエネルギー源
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運動強度が高くなるほどに、脂肪燃焼効率は落ちていきます。
これは、有酸素ゾーンにおいては「糖質と脂質が”1:1”の割合で消費される」のに比べ、無酸素ゾーンでは「ほぼ100パーセントが糖質によって消費される」ことによるものです。
純粋な有酸素運動の運動強度は、想像以上に低いものです。
純粋な有酸素運動は、最大酸素摂取量の五〇パーセントから六〇パーセントの強さの運動です。
引用元:石井直方[著]『一生太らない体のつくり方』P134より
必要以上に運動強度を上げても、体脂肪の消費量が増えることはありません。
高すぎる運動強度のリスク
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必要以上の運動強度は、老化を促進させます。
ついつい「運動強度を高くした方が早く痩せられるのではないか?」と考えてしまいがちですが、運動強度が最大酸素摂取量に近づくほど「体脂肪は燃焼されません」し「老化を加速させてしまうリスク」が高まります。
100パーセントの強さでは、運動後に過酸化脂質の量が急増する。これは厳然たる事実です。体が活性酸素の強い毒性に晒されているということになります。ところが、50パーセント以下の強さの運動ではそれが起こりません。
引用元:石井直方[著]『太らない教室』P118より
よかれと思って頑張った結果が、健康を害してしまう可能性があるのです。
ダイエット目的での有酸素運動は、「ゆるい運動を長時間続ける」ことがポイントになります。連続した運動である必要はありません。分割してでもいいので、ゆるい運動による運動量を積み重ねるようなイメージです。
これは、運動(有酸素運動)にこだわらずとも、「活発的な日常生活を心がけた方がダイエット効果が高い」ということを示唆しています。
まとめ
ダイエット目的の有酸素運動は、心拍数110~120が目安となります。
しかし、必ずしも心拍数を測定する必要はありません。
効率的な有酸素運動(最大酸素摂取量の50~60パーセント)というのは、軽く汗ばむ程度の運動強度です。
気持ちよく長時間続けられる運動強度であれば、自然に「脂肪燃焼効率の高い心拍数」の範囲内に収まるということです。