有酸素運動が20分以上とされる理由。「分解→燃焼」のメカニズム。

有酸素運動は、糖質と脂肪を半分ずつ消費する運動です。

有酸素運動をはじめると、すぐさま糖質と脂肪が消費されます。
しかし、このタイミングで消費されている脂肪は「すでに血液中を流れている脂肪酸」であり、脂肪細胞内に蓄えられている脂肪ではありません。

脂肪細胞内に蓄えられている脂肪(中性脂肪)を代謝するためには、ホルモン感受性リパーゼを活性化させて脂肪酸とグリセロールに分解する必要があります。・・・ある程度の時間がかかることは避けられません。

これが、「有酸素運動は20分以上続けなければいけない」といわれている所以です。

ホルモン反応による脂肪分解

脂肪を分解するためには、ホルモンの反応が利用されます。
有酸素運動(50~60%最大酸素摂取量の運動)ではホルモンの反応が鈍く、血中アドレナリンや成長ホルモンはゆるやかにしか増加しません。

脂肪細胞に蓄えられている脂肪は、ホルモン感受性リパーゼによって分解されます。
そのホルモン感受性リパーゼを活性化させるのが、アドレナリンや成長ホルモンなどです。

脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼは、アドレナリン、ノルアドレナリン、成長ホルモン、インターロイキン-6(IL-6)などのホルモンによって活性化されます。

引用元:石井直方[著]『トレーニングをする前に読む本』P207より

有酸素運動を開始すると、約15分ほどで脂肪が分解されはじめ(血中脂肪酸濃度が高まりはじめ)、はっきりとした上昇が確認されるようになるまでには「約20分ほど」の時間がかかることになります。

有酸素運動は20分以上続けなければいけない」といわれているのはこのためです。

効率的な脂肪代謝

有酸素運動は、唯一の脂肪を消費する運動です。
しかし、必ずしも「辛い運動を長時間続けなければいけないのか?」といえばそんなことはなく、効率よく脂肪を減らすためにはいくつかのポイントがあります。

  • 「筋トレ→有酸素運動」の順番
  • 運動前後の糖質補給

筋トレ→有酸素運動の順番」というのは効率的に脂肪を燃焼するためのポイントであり、「運動前後の糖質補給」というのは効率的なトレーニングを長時間続けるためのポイントになります。

①筋トレと有酸素運動の順番

(脂肪を減らすためには)「筋トレ→有酸素運動」であることがセオリーです。

筋力トレーニングをすると、アドレナリン、ノルアドレナリン、成長ホルモンなどの分泌が促されますので、結果としてホルモン感受性リパーゼを活性化させて「脂肪が脂肪酸とグリセロール」に分解されることになります。

このタイミングで有酸素運動を実施すれば、血中の遊離脂肪酸濃度の高まったタイミングで有酸素運動をはじめることができますので、効率的な脂肪燃焼につながりやすくなります。

体脂肪を減らすためには、脂肪細胞内の脂肪を「脂肪酸とグリセロール」に分解し、有酸素運動によって「二酸化炭素と水」にまで分解する(燃焼させる)必要があります。
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②運動前後の糖質補給

糖質は、ダイエットの敵にも味方にもなります。

有酸素運動は糖質と脂肪を半分ずつ消費する運動です。
しかし、脂肪はグリコーゲンなどの糖質よりもはるかに多量にあるエネルギー源ですので、糖質の量が低下しているタイミングであっても、脂肪の量には余裕があります。

有酸素運動を続ける(脂肪を減らす)ためには、糖質の摂取が必要です。

もちろん、「エネルギーは消滅しない」という基本的な物理法則がありますので摂取量には注意が必要なのですが、動く(運動を続ける)ための糖質摂取はダイエット中であってもプラスに作用することになります。

「有酸素運動がつらい」・・・と感じているのであれば、「糖質が不足していないか?」を見直してみる必要があります。

まとめ

有酸素運動は「20~30分以上続けなさい」といわれているのは、ホルモン感受性リパーゼによって脂肪細胞内の脂肪(中性脂肪)が脂肪酸とグリセロールに分解されるまでには最低でも20分以上の時間がかかるためです。

ホルモン感受性リパーゼの働きには、アドレナリンや成長ホルモンなどが深く関与しています。

消費エネルギーの点から考えれば20分以内の有酸素運動であっても十分に効果的なのですが、脂肪細胞内の脂肪が分解されているわけではありませんので、トレーニング後の食事によって速やかに補給されることになります。

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